胡蝶の夢-2- (ページ3)

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『ん？』

「…朝とか、クラスの子と写真撮ってるの見て、目逸らしちゃったし」

『……』

「さっきのも、なんか、…なんて返事するんだろうって考えてた」

『…うん、あとは？』

「衣装、かっこいいからみんな写真撮りたいだろうなって」

あの日以来、恋人ができたとしても相手の行動なんてどうでもよかった

どんなに他の女子と仲良さそうにしてたって気にならなかったし
あまり自分が大切にされてないってわかったって気にしていなかった

人ってそういうものだって思ってたから、期待なんてしてなかったから

こんな感情が湧いてくるのは私にはあり得ないことで

『それはやきもち、だね』

「…そう、みたい、です」

信じられないけど、森本くんと関わる他の女子に嫉妬をしてしまっている

『やきもちだ』

「…何回も言わないで」

『俺もやきもち、樹に』

「え？」

『朝、ねこちゃんになってるAのこと樹が独り占めしてたから』

「あれは向こうが勝手に…」

『俺より先に近くでAのこと見ててむかついてた』

窓枠に手を掛けてこっちをじっと見つめる森本くんは
口を尖らせて本当に拗ねたような表情を浮かべる

私だって森本くんのこと、一番に近くで見られなかった

そんなこと当たり前だってわかってるけど、私だって

『んは、"私だって"って顔してる』

“そうだよね、お互い様だよね”

優しく笑いながら私の隣で立ち止まる森本くん

温かくて大きな手で私の頬を撫でる

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