胡蝶の夢-2- (ページ7)

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昨日の雨は止むことなく目覚めた瞬間も降り続けていた

一人になると変わらない

雨の音が頭に響いて、痛くて痛くて

だから雨の降る日はカーテンも開けずに大音量で音楽を流して
気を紛らわす

今日もいつものようにそうしていた

もはや昼ご飯の時間になってしまっている朝ごはんを食べようと準備している時だった

＿＿＿♪

最近はインターフォンを鳴らすのは森本くんしかいない

けど来る前には必ず連絡してくれるはず

カメラを覗いたとき、

…背筋に一筋、ツーっと冷たい汗が流れる

…なんで、どうして

忘れたくても忘れられないこの姿

何か口をもごもごさせている様子が目に入り、通話ボタンを押す

『…っ、A？A？』

「…はい、」

『私、お母さん、覚えてる？A、？』

「…何しに来たの」

カメラ越しに同じアパートに住む他の住人さんの姿が見えた

本当は会いたくないけど、話したくないけど、家に入れたくないけど

「…開けたから」

今きっと周りが見えていないこの人が邪魔にならないように
オートロックを解除する

心臓の音が激しくなる、呼吸も浅くなっていく感覚がする

もう一度インターフォンが鳴って、ゆっくりとびらを開けた

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