胡蝶の夢-2- (ページ28)

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すると、自分の瞳から零れたものではない雫が頬を伝った

少しずつ視線を森本くんから空へと動かせば、
待っていましたと言わんばかり、徐々に増大していく打ち付ける音

『雨…』

私たちの未来、…いや、私の未来を表しているようだった

『…あ、雨、！大丈夫、怖くない？えーっと、』

「森本くんがいるから大丈夫」

『……』

「森本くんがいなくなるとね、雨の音、すっごい頭に響くの」

『…うん』

「最初はただ単に森本くんがうるさいからだって思ってたんだけどね」

『…なんだよそれ(笑)』

「そんなことじゃなかったんだよね～…」

時間の経過とともに雨脚が増していくのに

そんな雨を避けようともせず、無抵抗のままどんどん濡らされていく

息がしにくいこの空間に心地よさすら感じ始めている

「森本くんのおかげで雨、嫌いじゃなくなった」

だけど、雨はあの人と私を結び付ける糸のようなもの

簡単に私を捨てていったあの日も、

急に私の家に押しかけた数週間前も、

…そして今も

今日、夜が明けたら高校に転校の手続きしに行くんだから

まるですべてが仕組まれているんじゃないかって疑ってしまいたくもなる

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