破滅 13 ページ15
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「Aは」
「……はい」
「Aは、まだグレンは強いって、思ってる?」
深夜が、少し表情を曇らせて、私に聞いてくる。
私は、その問いにどう答えるのが正解か考えを巡らせる。
「ああ、素直に答えていいよ。別に怒らないから」
「……じゃあ、そうですね。
……そんなに、強くないのかも、しれないです」
「はは、ほんとにそう思ってる?」
すっと深夜の目が細くなる。私が嘘をついているかどうか、見極めようとする。
「嘘ではないです。が、深夜様が現状考えている強さよりは、強いと思います」
「ふむふむ。どのくらいだと思う?」
「私は、おそらく、十条美十さんくらいの強さはあると思います」
「なるほどねぇ。それ、彼女が聞いたら怒るだろうね」
「あはは、確かに」
『なぜ私が一瀬グレンと同じなんですか!』と怒っている彼女が目に浮かぶ。
深夜は、うーん、と唸り、なにやら考え込んでいるようだったが、すぐにいつも通りの飄々とした態度に戻る。
「まぁ、僕はもうあいつのことは期待しないって決めたから」
「そうですか」
「うん」
再び、会話が止まってしまう。が、もう特に話すこともないし、私が心配していた事も解決したので、黙ったままじっと手元を見つめる。
と、突然深夜が動く。
とっさに、私も防御体制に入ってしまう。
「あは、良い反応速度。だけどざんねーん」
「う、わ」
ぴと、と頬に氷袋が当てられる。
冷たくて、一気に鳥肌がたつ。
反射的に、深夜を睨んでしまう。
「あはは、ほんのイタズラだって」
「……イタズラにも程があります。もう大丈夫ですか?」
「うん。ありがとう。……所でさ」
氷袋を机に置き、ずい、と深夜が体を寄せてくる。
突然の事に、体が動かない。
「男女が部屋に2人きり……何も起こらないはずもないよね〜」
「何も起きません私が何も起こさせま……ひゃっ」
深夜がなにやら不穏なことを口走ったので、早口で否定を捲し立てる。
なのに、突然深夜の冷たい手が首に添えられる。
「顔真っ赤じゃん」
「だ、誰のせいだと……」
「こんなんでいいの〜?先進めないじゃん」
「はい!?」
ニコニコと裏の読めない笑顔でとんでもないことを言われる。
……早くも貞操観念の危機である。
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しばらく更新遅くなりがちかもです……。
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なな - 新しいのが気になります 更新頑張ってください。 (2021年12月27日 18時) (レス) @page15 id: 0c7821053f (このIDを非表示/違反報告)
たべっ子どうぶつ - 面白かったです!深夜様大好きなので、読んでいてドキドキしました!これからも更新頑張ってくださ応援しています(^^)い。 (2021年8月14日 18時) (レス) id: 943a308abb (このIDを非表示/違反報告)
さき(プロフ) - 最高です…!更新大変かもしれませんが,頑張ってください! (2021年4月6日 15時) (レス) id: d19ff0bf1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むらくも | 作成日時:2021年3月9日 16時