破滅 09 ページ11
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チャイムが鳴ると同時に生徒たちは一斉に立ち上がる。
この学校には部活はない。そんなことをやっている暇があるなら、全員が呪術に関する勉強か、修練を行うからだ。
ホームルームが終わったので、私も鞄に教科書を詰め込んで立ち上がる。
すると後ろから深夜が、
「あ、グレン、A。一緒に帰る?」
と誘ってくる。
「死ね」
「すみません。本日は用事があるので……」
嘘だけど。
グレンは、深夜に冷たい視線を向けていた。
「はは、断られちゃった」
ニコニコと笑う深夜。
「でも今日は一緒に帰ってもらうからね〜、A」
「なんで」
「面白そうだから」
「ええ」
そうこうしている内に、グレンの周りにクラスメイトが集まり始める。グレンは、嫌そうに顔歪める。
あれは助け舟を出してあげるべきか?
「なな、一瀬。おまえあの2人のうちのどっちかと、付き合ってたりすんの?」
「なんだ。おまえらは、汚らわしい一瀬の人間とは付き合わないんじゃなかったのか?」
「美人は別だよ」
「どういう理論だ」
「いいから言えって。あいつら、あれだろ?おまえの直属の従者だろ?ってことはあれか?夜伽もやってんのか?」
「ちょっと五士の低俗男!教室で卑猥な話はやめていただけますか!?」
十条が声を上げる。
よく公然の場でこんな発言が出来たものだ、と思うと同時に、
「そ、そうですよ!変な言いがかりはやめてくださいませんか!グレン様はまだ、わたくしには手を出してくださらないんですよ!」
と、グレンの従者が声を荒らげる。
……訂正。ここには低俗な奴しかいないみたいだ。
クラスが一瞬で、静まり返ってしまう。
五士は驚いた顔をし、十条と私がとんでもない野獣を見るかのような目でグレンをにらみつける。
そして深夜が楽しそうに笑ってから、言った。
「なぁグレン。いまの話、真昼にしていい?」
それにグレンはうんざりしきった顔でため息をつき、歩き出す。
「はぁ……俺はもう、帰る」
それに背後から五士が、
「おい一瀬。おまえ一瀬の分際でずりぃぞ。俺も女遊びの仲間に入れ―――いったぁ!?」
「ちょっと黙ってください」
最低な事を言おうとしていたので、殴って黙らす。
グレンの従者の1人は、わからないという顔で周囲を見回していた。
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なな - 新しいのが気になります 更新頑張ってください。 (2021年12月27日 18時) (レス) @page15 id: 0c7821053f (このIDを非表示/違反報告)
たべっ子どうぶつ - 面白かったです!深夜様大好きなので、読んでいてドキドキしました!これからも更新頑張ってくださ応援しています(^^)い。 (2021年8月14日 18時) (レス) id: 943a308abb (このIDを非表示/違反報告)
さき(プロフ) - 最高です…!更新大変かもしれませんが,頑張ってください! (2021年4月6日 15時) (レス) id: d19ff0bf1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むらくも | 作成日時:2021年3月9日 16時