周りの芝生が青すぎる【Dr.STONE】 (ページ4)

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　着いた先は、ここだけ時が遡ったかのように錯覚する、時代的には石器時代の住居が立ち並んでいた。

　元からあったらしい洞窟が主な住居で、女性のスペースと男性のスペースは完全に分けられており、安全性はまあそこそこ。

「原始人はこんな暮らしをしていたのかな」

「ゴイスーにド直球……。まあ、Aちゃんの言いたいこともわかるけど。司ちゃん、千空ちゃんと戦うためだけの人しか起こしてないから、大工さんなんているわけないし……」

　私の案内役を任されたゲンは、どうやらすべての施設を紹介し終わったらしく、「そろそろ司ちゃんのところに戻ろっかー」と笑顔を貼り付けながらもと来た道を歩いていく。

「待って」

「うわっ!?」

　しかし、私はそうはさせまいと、風にたなびく彼の羽織をグッと掴んで引き寄せる。

　力強いのね、なんてつぶやきが聞こえたような気もしなくもないが、そんなことよりも私はさっきの発言の中に気になるワードがあったのだ。

「司と千空って人は戦争をしているの？」

「へ？ ……ああ、その話ね」

　ゲンは周りをキョロキョロ見渡して誰も近くにいないことを確認すると、まるで内緒話をするかのように私の耳に口を近づける。

「戦争ってほどじゃないんだけど……、さっきも言った通り司ちゃんは人類の中でも最初の方に目を覚ました。でも、実はそれよりも前に目覚めた人がいたのよ。それが千空って人なんだけど、まあそれがジーマーでバイヤーな化学オタクなわけ」

　石化してからずっと秒数数え続けて意識を保ってたり、目を覚ましてすぐに状況理解して一から文明を築き上げようとしてたり……千空ちゃん、ゴイスーなのよ〜ジーマーで。

　ペチャクチャと千空について熱弁するゲンのおかげで、何となくその人の人物像が見えてきた。

　しかし、まだ司と千空が対立している理由は分からない。

　私はゲンに、なんで戦っているのかと尋ねると、それまで饒舌に語っていた顔がこわばり、石化したみたいにピシリと固まる。

　かと思いきや、次の瞬きの瞬間には頭を抱えていて、何かを一生懸命に考えている。

　そんなに悩む質問だったかな。

　――ようやく考えがまとまったのか、彼は再び周りに誰もいないことを確認すると、

「復活したばかりのAちゃんにこんなこと言うのも気が引けちゃうんだけど……」

　
　実は俺、裏切り者的なアレなんだよねぇ。

　手のひらで口元を隠しながら、小さな声でそう言った。