53 ページ6
.
完全に挟まれており、逃げ場はほとんどない。
走れば何とか、という思考を巡らせるが、果たして夏菜を連れて行けるだろうか。
多分、難しいだろう。
「Aちゃん……」
「……夏菜、一、二の三で逃げるよ。走ってね」
「……わかった」
夏菜は怯えながらも、しっかりと返事をしてくれた。
本当ならば、"個性"を使って一掃できそうなものだが、規制上それは不可能である。
ならば、選択肢は一つのみ。
「一……二の、三！」
グイッと夏菜の腕を引いて、全力疾走をする。
男たちはポカンと口を開けて突っ立っていた。
よし、これなら逃げ切れる。
そうフラグらしいものを考え、暗い道から一気に明るい道へと出る。
あとは、ヒーローに通報するだけだ。
サッとスマホを出し、近くに見えたヒーロー事務所の電話番号を入力する。
そして、通話のボタンを押そうとした。
「Aちゃん、上っ!!」
「そのスマホこっちに渡せ」
夏菜の声が聞こえて、上をバッと見上げる。
すると、金属バッドを持った巨体の男が上から降ってきた。
少し跳んで後ろに下がり、男の様子を見る。
━━遠くの方に、放火しようとしていた男たちもこちらに向かってきていた。
さすがにあの大人数じゃ一人で相手は出来ない。
"個性"は原則使ってはいけない、体術のみで勝たなければならない。
ふうと小さく息を吐き、酸素が全体に巡るような大きく息をする。
よし、やろう。
「貴様ら、何をしている」
「へ」
「ちょ、エンデヴァー……速いよ」
「え」
「オ、オールマイト!? それにエンデヴァーも……」
……あんなにやる気だったのに、この二人が来てしまっては何も出来まい。
一人勝手に盛り上がっていたのが恥ずかしくなる。
来るんならもっと早く来てくれ……。
「おい」
「……何すか」
「お前ならもっとやれたはずだが？」
「この場合は逃げるのが最善だと思ったのですが。違いますか、オールマイト」
急に話を振られたオールマイトが、「へっ？」と素っ頓狂な声をあげる。
なんかごめんなさい、と心の中で謝っていると、オールマイトから返事が返ってきた。
「そうだね……うん、逃げたのは正解だったと思うよ」
「ほら」
「そのメリケン男の言葉を鵜呑みにするな」
「ええっ!?」
メリケン男て。
安心から来たのか、ふふっと笑いがこぼれる。
夏菜は目の前で起こっている事が理解できないのか、ポカンと口を開けている。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 510人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
月狐(プロフ) - R_yomoyaさん» 二度目のコメントありがとうございます！ なるほど、最推しは相澤先生ですか。分かります、クソかっこいいですもんね(同担拒否だったらすみません)。どんどん爆発していってください！← (2021年7月11日 0時) (
レス) id: 8c0c53f143 (このIDを非表示/違反報告)
R_yomoya(プロフ) - うひゃー！！！相澤先生！！！最推しと同じクラスとか爆発するんですが＼ボーン／ (2021年7月10日 23時) (レス) id: 53959ad895 (このIDを非表示/違反報告)
R_yomoya(プロフ) - 月狐さん» 勿論でございます…なんせMHA大好きなもので… (2021年7月9日 22時) (レス) id: 53959ad895 (このIDを非表示/違反報告)
月狐(プロフ) - R_yomoyaさん» コメントありがとうございます！ 多分、R_yomoyadさんの思い浮かんでいる人物ですね（笑）白髪で思い浮かぶとは……もしや相当推してますね？(ただ言いたかっただけです、すみませんっっっ!!) (2021年7月9日 22時) (レス) id: 8c0c53f143 (このIDを非表示/違反報告)
R_yomoya(プロフ) - まって！？白髪！？え！？えもう1人しか思い浮かばへん！！え同期組！？よっしゃ救ったる(まだ確定してないのに勝手に気合い入れてる人) (2021年7月9日 21時) (レス) id: 53959ad895 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紺 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/miitan11201/
作成日時：2021年6月10日 21時
