原作ぶっ壊していいですか？―2―【ヒロアカ】

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運が悪い、それはこのすばのアクアさん並に運が悪い。

前にも、学校のテストで記号問題が出題され、それを運任せでやったところ見事に全問不正解になってしまった、という事件がある。

そんなことある？ と何日か現実逃避をしていたのはいい思い出だ。


「ということで、私は運任せにやっちゃダメなんよ」


「全問不正解って……ぶふっ」


「ゴッドブローの餌食になりたいんですか」


ごめんごめん、と謝るお母さんの肩は小刻みに揺れており、一発デコピンをかましてあげた。

威力強いんだから加減してよ、と涙目で訴えてくるが、自業自得だろうと思って放っておく。


「お待たせしました、こちらレモンチーズケーキとミルクティーです」


「あ、ありがとうございます」


人の良さそうな笑みを浮かべた女性店員が、私の注文したものを運んできた。

ペコッと小さく会釈をし、運ばれてきたレモンチーズケーキをじっと見つめる。

控えめに置かれたミントがアクセントになっており、全体的にも華やかな印象を受ける。

ふわりと漂ってくるレモンの香りも、ちゃんと私好みだ。


「食べんのんなら食べてあげるよ。味も落ちるし」


「いらわんといて」


せっかくこの素晴らしい姿を目に収めているのだ、邪魔はなんとしてでも阻止せねば。

まあでも、お母さんの言う通り早く食べないと風味が落ちてしまう。

そうなったら大変だ。

カチャリと音を立ててフォークを手にする。

ケーキにフォークを入れると、案外すんなり入り一口程度の大きさを掬った。

それを口に運び、ゆっくりと咀嚼する。

まず来たのは、鼻の奥をくすぐるレモンの風味。

そして、その後ゆっくりと押し寄せるようにチーズケーキの濃厚さが口いっぱいに広がった。

それに加えてミルクティーを一口飲めば、もう言うことなし、完璧である。


「いい顔するねえ。写真撮っていい？」


「絶対やめて」


そういうお母さんのお皿には、かなり大きめのモンブランがあったはずなのだが……、跡形もなく消えていた。

消えたモンブランについて少し引いていると、そういえばとお母さんが話を持ち出した。


「ホークスね、Aがおらんくてもちゃんと訓練し始めたんよ」


「ほー……そっか」


それは良かったと思う反面、寂しいなあと思う自分もいた。

それを見透かしているかのように、ふふっと口角を上げているお母さん。


「でもやっぱり会いたいって」


「よっし、今からでも会いに行こう」

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