第十話 ページ12
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「先生、授業を続けて下さい...」
気まずい空気の中、声を出した明智くんのすぐ後に、法螺貝の音が響いた。
「初の公認旗印が出ました」
その言葉に、一気に盛り上がる皆。
「旗印提出は.....1年C組、大沢一郎くん」
「誰中の誰」
どうやら今画面に映っているなんだか弱気そうな男の子が旗印提出者らしい。
皆は期待外れだったみたいで、すぐさまブーイングの嵐が。
いや、確かに誰だよって感じだけど...
「大沢くんが提出した旗印はこちらです」
「2時間以内に武田信玄を倒す!!大沢一郎」
『え!?』
衝撃すぎて私はバッと武田くんを見てしまう。
だけどタイミングの悪いことに丁度彼と目が合ってしまい、なんだか怖くて直ぐに前へと視線を戻す。
こんな怖くて強そうな人と戦うの大沢くん!?いや、見た目だけで決めつけちゃいけないんだろうけど...!!
「なお、同じ旗印が出ました。合計205本」
言葉のすぐ後に205人がズラズラと画面に出てきて、改めてその数の多さに驚く。
『にっ、に.........!!?』
「つまり武田くんが205人と戦うってことですか?」
「しかし旗印戦は一対一なのでは?」
「旗印戦は、一人に対して何人でも提出可能」
まるで私達の声を聞いていたかのように画面から声がする。
というか205本って...……!!いくら何でも多すぎじゃない?
そんなの......計画してたってこと?大沢くんが?
なんか見た目からは全然考えられなくてもう頭がこんがらがってきた。
「そんなの、正々堂々とは程遠い...」
「それでいいんだ。...それが、戦なんだよ」
「武将の血...」
みやびちゃんの苦い声に言葉を返した武田くんは、今から自分が戦うというのに変に落ち着いている。
「いくら武田くんでもそんなの無茶に決まってるよ!」
「それにしても、示し合わせたように205本の旗印...一体何が起こったんだ」
考え込む上杉くんと同じように私も考えていると、黒田くんが井伊くんの肩をつついた。
「なんだ?」
「まさか...」
「おいおい、え、何?俺が他の連中に武田を倒す旗印出せって唆したとでも?おいやめてくれよ〜!」
黒田くんはまだ何も言っていないのに、犯人は自分ですと言うようにあからさまな態度を取る井伊くん。
ひ、卑怯すぎる......!!
「武田、絶対生きて帰ってこいよ?修学旅行行ってお揃いの木刀、買いたいじゃ〜ん!」
「もしくは、ペナントな?」
武田くんを揶揄う井伊くん達に私はムッとして流石に一言言おうと彼らの輪に歩み寄る。
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moka(プロフ) - 前田利家さん» コメントありがとうございます🥰💗面白いと言って下さってとてもやる気が出ますし、何より嬉しいです😭✨前田くんとの関わりも今後増やしていけたらいいな〜と思っていますので是非!! (2022年10月14日 20時) (レス) id: 6967548606 (このIDを非表示/違反報告)
前田利家 - 小説めっちゃ面白いです。私のおしは前田利家です! (2022年10月14日 14時) (レス) @page5 id: 4149d8455a (このIDを非表示/違反報告)
moka(プロフ) - サナさん» わわっ!!ありがとうございますすぐに直してきます…!私も二人との絡みが欲しいなって思ってたのでこれから色々絡ませられるよう頑張ります!👍✨ (2022年9月29日 9時) (レス) id: 6967548606 (このIDを非表示/違反報告)
サナ - 明智くんの、武田くんが、武田うんになってます。上杉との(伊達も!)の絡みが欲しいです。でも、秀吉もいいですよねー。 (2022年9月29日 7時) (レス) @page47 id: cd10ddfe42 (このIDを非表示/違反報告)
moka(プロフ) - コメントありがとうございます〜!私は直ぐ秀吉くんと絡ませてしまう病気にかかっているので凄く嬉しいお言葉.....✨✨️これからも彼と絡むことは多くなりそうです笑 (2022年9月4日 19時) (レス) id: 6967548606 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:moka | 作成日時:2022年9月3日 23時