唐突な愛情表現 ページ22
開けっ放しにしていた障子から差し込まれる太陽の陽射しを背中で感じた私は、重たい瞼をゆっくり開けた
あんなに胸がドキドキしていて眠れなかったのに、気がついたら寝ていたようだ
すっかり外は朝の気配を醸し出していた
早く起きて朝餉の支度しなくちゃ…
ぼんやりしていると、視界の端に1人の男が寝ている姿がうつる
ボリュームのある、腰まで伸びた銀髪が持ち主の呼吸に合わせて動く
「ぐっすり寝てる」
小さく寝息をたてているこの鬼は、起きる気配が全くなかった
それにしても、こんな無防備な姿を見れるとは…
起きているときは威圧的気配を醸し出して、弱い妖怪だったら妖気だけで吹っ飛ばすぐらいの、強くておっかなくて
寝入っている茨木童子の姿は、普段なら想像が難しいくらい隙だらけだ
私は目の前の鬼の寝顔をジーっと見つめた
朝一起きたら好きな人が傍にいるって、案外いいかも
少しずつを近づけ、起こさないようにそっと鬼の唇にキスを落とした
寝ているし、わからないでしょ?
、と頭の中ではわかっていても何だか小っ恥ずかしくなり、私は起き上がろうとした時
「うっわ!?」
腕を掴まれそのまま引っ張られてしまい、"寝ているはずの茨木童子"が私を組み敷いている格好になった
そう、本来なら今私が組み敷かれている所に鬼が寝ているはずなのだ
だが今そいつは私の顔を見てニヤリと口の端を上げている
布団に押し倒された私は、寝起きの脳みそで何とか状況を把握できた
つまりこの鬼は狸寝入りをしていたのだ
私がキスしたのを………
「私が寝ている時は、随分と積極的なのだな」
「う、うそつき!寝てなんかいないじゃない。何で寝たふりなんかしてたのよ」
鬼は目元をほんの少しだけ柔らかくし
「ただの気まぐれだ」
なんてはぐらかした
「もう…とにかく、朝餉の準備があるからそこをどい」
て、と言えなかった
目の前にいる鬼の口付けによって、言葉を防いだからだ
「んんんっちょ、人の話を聞いてる!?」
茨木童子のがっしりとした肩を押し返したがビクともしなかった
「Aよ、私は君のせいで抑えていたものを抑えきれなくなった」
そう言って茨木童子は少し湿った私の唇を指でなぞった
不思議とその動きに身体中熱がこもり始めた
私のせいって…私からキスしたから!?
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翔子(プロフ) - 面白かったです!!続きが途切れていて少し残念でした。 (2020年7月18日 15時) (レス) id: 46d689b6ff (このIDを非表示/違反報告)
雅 - 今更ながらの感想ですが、凄く面白いです^^*一日で全部読んでしまいましたヾ(*´∀`*) (2020年6月25日 7時) (レス) id: f3a30ae55a (このIDを非表示/違反報告)
神無(プロフ) - この作品を読まさせてもらいました!とても面白いと思いました!なので、更新頑張ってください! (2018年9月30日 16時) (レス) id: 3f0f44a8b4 (このIDを非表示/違反報告)
はぐはまさ - 桔梗さん» 有難きお言葉!満足頂けるよう頑張ります(*'▽'*) 虫取り網や枕を気で浮かせている茨木童子は見た目とのギャップでもう幸せですね…! (2018年8月16日 1時) (レス) id: c8fcfc89a6 (このIDを非表示/違反報告)
桔梗 - 勿論!ずっと読み続けたいです!現在のロード画面も感動しました(*´-`) (2018年8月13日 0時) (レス) id: 8ba5b5b6c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はぐはまさ | 作成日時:2018年2月4日 1時