【陰陽師】女子高生と茨木童子 3

好きだからこそ ページ18

「私と一緒に寝るのは、いやか…？」



低くて甘い声が、部屋の中で静かに振動する



ずるい、ずるいよ



私の中での境界線が揺らぐ



「いやじゃ、ないけど…」



段階も踏まずに突拍子なんだもん




…別に夜の営みとか考えてないから！茨木童子だっていきなり手を出してくるような男じゃないし！



誤解しないでね！？



「なら問題はないだろう？何を気にしているのだ」



「だ、だって！私、男の人と寝たこと無いし…小さい頃だって家族とも一緒に寝たことないんだよ！？ずっと一人で寝てきたから、その…」



恥ずかしさに言葉が詰まる



「誰かと、好きな人と寝るのは初めてだから、そのっ恥ずかしくて…」



って、何言ってんの私は！！！！



あまりにも恥ずかしくて目線を逸らし、茨木童子に背中を向ける



すると、後ろから笑いを堪える音が僅かに聞こえた



振り向くと、茨木童子は左手で口元を押さえ肩を震わせていた



「ちょっと！何笑ってるのよ！」



人が恥ずかしい思いをしてまで正直に話したのに！



「…ッハハ！すまない、君は本当に私を退屈させないな」



茨木童子は顔を上げ、私の真っ赤な顔を見つめる



「私は君といたい」



たった一言で、トクンッと心臓が跳ねる




「Aよ、君はどうなんだ？」



ああ、ずるいな



この鬼は私の心を容易く溶かしていく



正直に甘えてしまおうと、気持ちが揺らいでしまう




「…私もだよ」



この鬼だけだ、私をこんなにも惚れさせれるのは



「なら、それだけで良いだろう」



強引だな！？



あんぐりしている私なんかに気にせず、茨木童子は左手で装備に手を置いた



止め金や縛っていた結び目を解き、次々と装備を外していった



いつも着替える時大変そうだな…じゃなくて！



何で脱いでんの！？



この鬼は何重にも上に重ねた着物を、色っぽく脱ぎ始め、その様子に思わず唾を飲み込んだ



男の人の着替えをじっと見ている自分は頭おかしい



見ちゃいけないってわかっているのに、目が言うことを聞いてくれない



茨木童子は黒の着物一枚だけ残し、脱いだ服を雑に床へ落とした




「着替えないのか？」



着替え終わったこの鬼は私の布団の上に座り、片膝を立てその上に左腕を乗せた



ボーッとしていた私はハッとした



てか、もう一緒に寝る感じになってしまっている…



別に襲われるわけではないから、今回は大丈夫よね？

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