今月で学校を卒業された皆さん、ご卒業おめでとうございます! ページ16
景色を見終わり、私は茨木童子に抱えられ屋敷の方へ帰った
もう真夜中だから、安倍晴明や神楽はもう寝ているだろうな
静かに縁側を歩く予定…だったが
「茨木童子?あの、そろそろ降ろしてくれる?」
もう屋敷に辿り着いているのに、なぜかこの鬼は私を降ろす素振りを見せずただ縁側を歩いていた
屋根の向こうから見える月を背景に、茨木童子の横顔がとても凛々しくかっこよく見えた
相変わらず無表情だ、何を考えているのかわからない
「君の部屋はどこだ?」
私のお願いは無視か!
「えっと…あの角を曲がってすぐだよ」
わかったと言ったまま、この鬼は私を離そうとしなかった
嫌だ、というわけではない。もちろん、好きな人に抱えられるのは嬉しい
ただ恥ずかしいのだ、見られるのも小っ恥ずかしい
私は肩を落とし、茨木童子に体を預けた
静寂な夜に、小さく鳴り響くのは鬼の足首にある鈴の音
足を動かすたびにチリンッ____チリンッ_______と心地好さそうに鳴くのだ
もし、ここが私と茨木童子だけの世界なら
この軽快な音をだす鈴の音を聞きながら、ずっとこうしてくっついていたい
「ここか?」
茨木童子は障子の前で立ち止まる
「そうだよ。ここまで送ってくれてありがとね」
私はゆっくり降ろされ、障子を開ける
「ここが私の部屋よ」
狭い部屋の中にあるのは、机と畳まれた布団、箪笥に鏡…
自分で言うのもなんだが、とてもつまらない部屋だ
面白味もなければ女の子らしい雰囲気もない
せめてピンク色の小道具でも飾っておくべきだった
「随分質素だな」
部屋を眺めた茨木童子が出した感想がとても率直だった
私を何だと思ったのよ…
「悪かったわね、ここはあまり使わないの」
少しムッとし、畳んであった布団を乱暴に広げる
そういえば、鬼って夜に活発的になるんだよね?
昼間でも動いている妖がいるけど…いつ寝てるんだろう
もしかして睡眠という概念が無いとか!?
「ねえ、妖って寝たりするの?」
「基本的には寝ないな。人間とは違い、睡眠を取らなくても何とかなる」
「そ、そうなんだ…」
妖それぞれってことね
茨木童子は部屋の隅にドカッと座り、外を見つめた
流れてくる風が、この鬼の銀髪を撫でていく
てか、何で座ってるの?
てっきり酒呑童子を探しに何処かへ行ってしまうのかと思っていたんだが
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翔子(プロフ) - 面白かったです!!続きが途切れていて少し残念でした。 (2020年7月18日 15時) (レス) id: 46d689b6ff (このIDを非表示/違反報告)
雅 - 今更ながらの感想ですが、凄く面白いです^^*一日で全部読んでしまいましたヾ(*´∀`*) (2020年6月25日 7時) (レス) id: f3a30ae55a (このIDを非表示/違反報告)
神無(プロフ) - この作品を読まさせてもらいました!とても面白いと思いました!なので、更新頑張ってください! (2018年9月30日 16時) (レス) id: 3f0f44a8b4 (このIDを非表示/違反報告)
はぐはまさ - 桔梗さん» 有難きお言葉!満足頂けるよう頑張ります(*'▽'*) 虫取り網や枕を気で浮かせている茨木童子は見た目とのギャップでもう幸せですね…! (2018年8月16日 1時) (レス) id: c8fcfc89a6 (このIDを非表示/違反報告)
桔梗 - 勿論!ずっと読み続けたいです!現在のロード画面も感動しました(*´-`) (2018年8月13日 0時) (レス) id: 8ba5b5b6c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はぐはまさ | 作成日時:2018年2月4日 1時