赤ずきんに花束を/zm ページ6
｢おーおー、えらい早く逃げてったなあ？腰抜けか｣
つまらなそうにそう言って、彼は私を解放した。
｢ダメやで、お嬢さん？こんな時間にこんなとこおったら。
その格好やし、別にエンコーしよ思てたわけやないんやろ？｣
気怠げに投げられた忠告に、先程のことを思い出す。
｢あ、えと…。助けていただいて、ありがとう、ございました｣
どうにかそれだけを絞り出す。
気持ちの悪い手の感触を思い出して、ぞわりと鳥肌が立った。
｢あぁ、気にせんでええよ。別に。
ただ、こーゆー目に遭いたないんやったら、もう家に帰ることやね。悪い大人に捕まるで？｣
ニヤリ。
長い前髪の奥の瞳が、三日月に歪む。
｢俺みたいなな？｣
ゴツゴツとした指が頬に触れる。
男性的な大きな手が、そっと輪郭をなぞった。
押し殺していた恐怖が膨れ上がる。
どうしよう、怖い、逃げられ、な
｢っふ、はははは！｣
｢！？｣
恐怖から思わず目を瞑ると、聞こえてきたのは予想外の笑い声。
｢なんてな。冗談。
俺はあのおっさんと違って大人やし、そんな阿呆なことせぇへんよ｣
……あ、遊ばれた…？
先刻とはうって変わった、無邪気な笑顔に、張っていた気持ちが一気に緩む。
｢助けてやったお礼は今度会った時に頼むで｣
そう言い残して、名も知らぬ彼は立ち去った。
……今度、なんて来るんだろうか。
少しだけ寂しく感じながら、私は帰路についた。
｢……な、なにこの騒ぎ…？｣
翌朝、学校に着くと、クラスの前に人だかりが出来ていた。
しかし、皆教室に入るでもなく、チラチラと中を覗くだけ。
｢あっ、A！今教室に入んない方いいよ。なんかね、今まで無断欠席してた不良？だかなんだかが、来てるらしくて……｣
私に気づいた友人が、不安気な顔でそう教えてくれた。
不良…？
｢あ｣
人と人の間から教室の中を見れば、その人物と目が合う。
途端、彼は、満面の笑みを浮かべ手を振った。
｢おはよーさん｣
骨張った手と、長い前髪。
そして、無邪気に笑う、その、顔。
｢また会ったなあ？ダメやで、見えるとこにイニシャルなんて書いたら。格好から学校と学年特定されるで？｣
｢……お、大人じゃないじゃないですか……｣
｢自己防衛もできないAちゃんよりは大人やで？｣
あ、昨日のお礼に教科書貸してな？忘れてきたから。
なんて言って笑う目の前の恩人を見て、まんまと騙されたことを知る。
……恩人の皮を被った狼から、逃げられる気がしないです。
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卯月 - 田螺さん» おお！！一緒〜嬉しいです！こんな素敵な文を書く方と推しが同じとか嬉しいです！！！シッマ推しってわりと少ないので奇跡に近いです...(私の中で)いやいや！こんな素敵な褒めずに何を言えばいいんですかああああああ！！！ (2018年5月6日 12時) (
レス) id: ee413df35c (このIDを非表示/違反報告)
田螺(プロフ) - 卯月さん» おお！同じですね( :D)いや、実はそうなんですよ…彼、イケメンなんです……bbいえいえ！嬉しいお言葉ありがとうございます…！；； (2018年4月29日 16時) (レス) id: 755aeb3c0d (このIDを非表示/違反報告)
卯月 - 不人気のくせにイケメンなの腹立つwwwwwなんですか！？最後めっちゃイケメンですやん！！！好きです......連続ですいません！ (2018年4月11日 23時) (レス) id: ee413df35c (このIDを非表示/違反報告)
卯月 - 田螺さん» シッマ推し....ですか？？もしそうだったら、私もシッマ推しなんで嬉しいです！！プラス私は、そこに大先生、グルちゃんが混ざりますww (2018年4月11日 23時) (レス) id: ee413df35c (このIDを非表示/違反報告)
田螺(プロフ) - 卯月さん» そう受け取っていただけて嬉しいです〜；；アッ、バレました…？笑 knさん贔屓なので多くなってしまいがちなんです…笑 (2018年4月10日 22時) (レス) id: 755aeb3c0d (このIDを非表示/違反報告)
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