牛島若利、片思い四年目突入

こーるまいねーむ6 ページ17

*



『＿＿京治、ばいばーい！』



日曜日の早朝、京治が東京に帰った。
もちろん、手一杯の宮城のお土産を持って。
もちろん、私の選りすぐりよりすぐりのお土産だ。



小さくなる電車を見つめながら、私は牛島くんに出会える偶然を確信していた。



昨日の京治のヒント、分かってしまえばなんてことないものだった。



何度か、牛島くんと遭遇した河川敷へと向かう。



いつかの日みたいに芝生の上に座り込み、遠くを見つめた。



「…………A？」



背後から声がした。
振り向けば、愛しい人。



『おはよう、若利くん』



牛島くん、もとい若利くんは、目を見開いた。
そして薄く息を吸い込み、大きく吐き出した。



「……俺は、その言葉を待っていたのか」



自分の手のひらを見つめ、ぎゅっと握りしめた。
するりと視線が地面を滑り、私と絡む。



『ふふふ……好きだよ、若利くん』



「俺もだ、A」



若利くんは、天然で、自分の感情にも鈍感で、とっても不器用。



＿＿好きだなぁ。ほんとに、好きだなぁ。



『今日も練習？』



「あぁ」



『頑張ってね』



若利くんは私の隣に座った。
太陽の輝く水面を、二人で見つめた。



言葉の無い時間が、沈黙が、私にとって大切な時間になっているのだ。



『……若利、くん』



「なんだ？」



『……呼んでみただけ、かも』



若利くんが私の頭を撫でた。
見上げると、若利くんの耳が真っ赤に染まっていた。



『……ふふふっ』



笑い声が、河川敷に澄み渡った。
若利くんは、遠くを見つめていた視線を、私に移した。
澄んだ空気が、清々しかった。





こーるまいねーむ



fin*




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樹紀さん、リクエスト本当にありがとうございました！！(*^^*)

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