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三日目。
私が宮城に戻る日。
『……じゃあね、まあちょっとしたら遊びに来るよ』
「うん。待ってる」
『京治もよかったら、こっちに遊びに来てね』
「……うん」
がたたんごととん、ききーきゅきゅー。
電車の音や、ブレーキ音が慌ただしい駅にて。
私と京治は至って静かな別れを迎えていた。
例にもれず、心配して駅まで送りに来てくれた京治とは、まさにここでお別れだ。
京治は、いつも通り平然としながら、本当に寂しいのかなぁ?と疑ってしまうような、冷静さを保っている。
『じゃあね、バレー頑張ってね!』
そろそろ電車が来る。
私が最後の言葉としてそう切り出したら、京治が、音もなく動いていた。
「…………ごめん」
『え……?』
ごめん、と懺悔するみたいな声が耳元で聞こえた。
背中と頭にはあたたかい、むしろ、熱いほどの手の感触。
肩に寄せられた顔は、間違いなく京治のもので、遅れて私は京治が私を抱きしめていると気がついた。
『……どうしたの、京治?』
「…………やっぱり、帰らないでほしい」
『京治…………』
私の弟は、なんて可愛いんだろうか。
肩にある頭にてを当て、昔の京治の姿を、想い重ねる。
泣き虫で、ビビリで、いつも私の背中に隠れてた京治が、こんなに大きくなっただなんて、未だに信じられない。
『……辛かったら、いつでも連絡してね。もちろん、辛くなくても連絡待ってるから』
「Aから連絡してよ」
『ふふふ……うん、そうするよ』
よーしよし、と頭を撫でると、気持ちが少し落ち着いたのか、京治がむくっと頭を上げた。
「…………じゃあね」
念には念を。
京治が少し潤んだ目で、淡々と言った。
*
年下の親戚としての魅力を存分に発揮してくれた赤葦京治くんでした!
続いてからは牛島くんのターンです!
きりんりん
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零月(プロフ) - 赤葦の片想いとか若様の天然故の不器用さとかあー!もー!言葉にできないくらい可愛いしカッコいい…凄くドキドキしたしきゅんきゅんしました!このお話最高です! (2017年11月19日 12時) (レス) id: 86a7555269 (このIDを非表示/違反報告)
きりんりん(プロフ) - かふぇらてさん» あの牛島くんですよおお……ありがとうございます!!(*^^*) (2017年11月11日 20時) (レス) id: 09e8ea326d (このIDを非表示/違反報告)
かふぇらて - あ、あの牛島さんがぁぁぁぁ可愛いすぎます(/ω\) (2017年11月10日 14時) (レス) id: f0a3b81de7 (このIDを非表示/違反報告)
きりんりん(プロフ) - 令さん» ありがとうございます!!他の作品も!!ありがたいです(*^^*)拙い文章ですが、きゅんきゅんして頂けたなんて、嬉しい限りです(^^)/ (2017年11月9日 17時) (レス) id: 09e8ea326d (このIDを非表示/違反報告)
きりんりん(プロフ) - ひまタイさん» 終わってしまったたなんて言ってもらえて嬉しいです!!ありがとうございます!また、お尋ねください(*^^*)続編も考えているので、よければそちらも!! (2017年11月9日 17時) (レス) id: 09e8ea326d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きりんりん | 作成日時:2017年10月29日 19時