81皿目 ページ39
*
夏休みが終わり、私達は始業式を迎えた。
夏休みが終わってすぐの部活の日、私はいつの日かのバラみたいな甘い匂いに包まれていた。
「＿＿小鳥遊うららです！ ピアノのコンクールがあったので、春先から休んでいましたが、夏休みに終わったので、これからは部活に来れるようになりました！」
彼女を一言で表すならば、古典的なお姫様、だった。
くるくると巻いた髪をツインテールにしていて、ふわっとゆるく弧を描く前髪は、濃い桃色のピンでとめられている。
きゅっと細身の身体に、眩しいばかりの白い肌。指の動きから笑顔まで、どれも女の子らしく、しなやかだ。
部員やマネージャーの視線を一身に集めていることに、歓びすらを感じているかのような、そんな笑顔。が、部員のみんなが練習に戻った途端に崩れる。
「なんだか、ちょっとだけうららが居なかった間に知らない顔が増えてる……」
小鳥遊さんが口元に手を当てながらそう呟く。私の方こそ見ていないものの、意識は私の方を向いているのがよく分かった。
『はじめまして、小鳥遊さんが部活に居なかった頃に転校してきました、駒米Aと申します。よろしくお願いします』
私からそう腰を折り曲げ挨拶をすると、小鳥遊さんは私の方をようやく向いて、品定めをするように視線を上から下まで滑らせた。
「ふぅん？ ……うららね、マネージャー始めたの、中学校の頃なんだぁ」
そうなんですか！と返事をした。そういえば、入りたての頃、マネちゃんたちが、中学校の頃からの古参だから、逆らえない的な事を言っていた人がいた気がする。
私としては、逆らえないどうこうよりも、人手が増えてくれるほうが素直に嬉しい。
それに、この人が本当にそういう人か、自分の目で確かめるまでは、どんな人かなんて決めつけちゃいけない。
『それは、とっても頼もしい限りです』
「…………。これから何かと、よろしくね、駒米さん？」
小鳥遊さんがすっと目を細めた。
私は背筋に冷たい汗が走るのを感じた。
＿＿あれ、何でだろう。私はこの視線を、''知っている''ような気がする。
仄暗い、不穏な足音みたいな、そんな視線＿＿
小鳥遊さんはきゅっと口角を上げ、笑顔を見せた。
その瞬間、背筋の冷えは収まり、私は肩の力を抜く。
なんだか、とっても嫌な感覚だった。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
詳しくは25皿、80皿目をご参照！
他にもちょいちょい出てたかも！
きりんりん
*
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1107人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
きりんりん(プロフ) - 道化師さん» ありがとうございます！！言葉選び……そこまでしっかり読んでくださってるのですか！！嬉しいです！！ありがとうございます！！( ；∀；) (2018年5月27日 14時) (
レス) id: ab681eea32 (このIDを非表示/違反報告)
きりんりん(プロフ) - ねこ。さん» ただいま帰りました！ありがとうございます！！とても嬉しいです……これからも頑張ります……！！(TдT) (2018年5月27日 14時) (レス) id: ab681eea32 (このIDを非表示/違反報告)
きりんりん(プロフ) - 雪音さん» 無事帰ってこれました！ありがとうございます！これからもよろしくお願いします(*^^*) (2018年5月27日 14時) (レス) id: ab681eea32 (このIDを非表示/違反報告)
きりんりん(プロフ) - 彩夏さん» ありがとうございます！これからもよろしくお願いします！(*´∀｀) (2018年5月27日 14時) (レス) id: ab681eea32 (このIDを非表示/違反報告)
ねこ。 - お帰りなさい！！私はこの作品と作者様が大好きです！！自信を持ってこれからも頑張って下さい！！ (2018年5月27日 12時) (レス) id: 8444393bfc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：きりんりん | 作成日時：2018年4月4日 23時
