72皿目 ページ30
*
＿＿ドンガラカッシャーン！！！
『ひいぃっ！！！』
私が喉から悲鳴を絞り出した。
しかし、私の弱々しい声は、鬱蒼と木々のしげる森の中、雨の音に溶け込み、すぐに消えてしまった。
視界には人ひとり映り込まない。
人の営みの灯りもない、ざあざあとすべてをかき消す雨の音しかない。
『……だ、だれか、助けて……』
私は再び、か細い声を吐き出した。
＿＿と、ザリザリと地面をする足音が聞こえてきた。
私は音の方へと首を向ける。
そこに居たのは。
「あれれ？ なーんか可愛い子が雨宿りしてるぜー？」
「うおっ、ホントだ、めっちゃラッキーじゃん」
『だ、誰ですか……』
私は現れた人たちの姿を視野に収め、雨に濡れるのも構わず、後ずさった。
現れた三人組、偏見は良くないけれど、見るからに柄が悪い。
私が後ずさるあいだも、楽しそうに不穏な会話を繰り広げる三人組に、私は息が詰まるように感じた。
「＿＿この雨に雷だぜ？ ……どんなに泣き叫んだって、誰にも聞こえねぇよ」
男の人のうちの一人が、低く囁いた。
私はぞわぞわっと背筋に鳥肌が走るのを感じた。
三人組が、じわじわと私に近寄る。
欲にまみれた目、私を見ないで、どこかへ行って……！！
伸ばされた手が私を掴んた。
身をよじり、振り切るよう必死の抵抗をする。
雨が染み込む。冷たい、怖い。
『い、嫌だっ！！ 誰か、誰か助けてぇ！！』
＿＿助けて、牛島さんっ。
私は叫んだ。
知らぬ間に、その名前を。
「＿＿駒米っ！！」
ふわり、温もりに包まれた。
きつく抱きしめる腕、力強い。
『牛島、さ……』
牛島さん。牛島さん、牛島さん……！！
「……怪我は無いか？」
腕が離され、少し晴れた視界から、牛島さんのぎゅっと眉が寄せられた顔が現れた。
今まで見たことがないくらい、心配そうな、悲痛そうな顔。
「……心配した」
声は震えていた。
怒りからか、それともまた別の理由か。
『ごめんなさい、道、間違えちゃった、みたいで……』
私の声も震えていた。
理由は考えるまでもない。
互いを見つめる私達を遮るように、柄の悪い声が飛んできた。
「＿＿おいおい、熱いところ見せてくれてんじゃねぇかよ、おい？」
牛島さんが声の主を、至って不機嫌そうに見る。
そうして私の肩をグイッと押し、守るように広い背中の後ろ側にまわした。
*
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きりんりん(プロフ) - 道化師さん» ありがとうございます！！言葉選び……そこまでしっかり読んでくださってるのですか！！嬉しいです！！ありがとうございます！！( ；∀；) (2018年5月27日 14時) (
レス) id: ab681eea32 (このIDを非表示/違反報告)
きりんりん(プロフ) - ねこ。さん» ただいま帰りました！ありがとうございます！！とても嬉しいです……これからも頑張ります……！！(TдT) (2018年5月27日 14時) (レス) id: ab681eea32 (このIDを非表示/違反報告)
きりんりん(プロフ) - 雪音さん» 無事帰ってこれました！ありがとうございます！これからもよろしくお願いします(*^^*) (2018年5月27日 14時) (レス) id: ab681eea32 (このIDを非表示/違反報告)
きりんりん(プロフ) - 彩夏さん» ありがとうございます！これからもよろしくお願いします！(*´∀｀) (2018年5月27日 14時) (レス) id: ab681eea32 (このIDを非表示/違反報告)
ねこ。 - お帰りなさい！！私はこの作品と作者様が大好きです！！自信を持ってこれからも頑張って下さい！！ (2018年5月27日 12時) (レス) id: 8444393bfc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きりんりん | 作成日時：2018年4月4日 23時
