検索窓
今日:30 hit、昨日:23 hit、合計:398,512 hit

65皿目 ページ23

*



ちらりと川に視線を移すと、透明で冷たそうな水が、爽やかな音とともにサラサラ流れていた。
木漏れ日が映り込み、時折はにかむように反射している。



『……あ、魚だ!』



私が天童さんの腕から抜け出し、川辺に近寄り顔を覗き込ませると、私の影を避けるようにすいすい泳ぐ魚がいた。



「……本当だ、魚いるんだ」



『これ、多分マスだよ』



「へぇ?」



白布くんが隣に一緒にうずくまり、川面を覗き込んだ。
魚たちは、面積を増やした影を避けるので必死になっているみたいで、鱗が反射して眩しかった。



「駒米、こういうところ来るの初めてだろ」



『そうだけど……なんでわかったの?』
 


首だけ白布くんに向け、たずねた。
白布くんの頬に鱗の反射が写りこみ、ゆらゆら滑っていた。



「……なんとなく、朝から妙にはしゃいでたから」



確かに、私は朝から、言ってしまえば昨日からずっとはしゃいでいた。



食堂でご飯をつくるときもわくわくして手元が危なっかしくなったし、夜、みんなで食堂でトランプをしていても、すぐに負けてしまう。



『……うん、確かに、心ここにあらずだったなぁ』



「多分、他の人たちもみんな気づいてたよ」



『え、ほんと? 私、そんなに目に見えてボケてたのか……なんだか恥ずかしい……』



私が頬を押えて再び川面に視線を移すと、それもあるけど、と真剣な声が飛んできた。



「__そろそろ、自分が結構人から見られてるってこと、意識したほうが良いんじゃない?」



『……? 人から、見られてる……?』



私は深々と首を傾けた。
そのまま川に視線を流すも、いまいち意味が分からない。



その言葉に、どこか既視感を覚えて記憶を漁る。



__と、私はハッとした。



*

66皿目→←64皿目



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (286 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1107人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

きりんりん(プロフ) - 道化師さん» ありがとうございます!!言葉選び……そこまでしっかり読んでくださってるのですか!!嬉しいです!!ありがとうございます!!( ;∀;) (2018年5月27日 14時) (レス) id: ab681eea32 (このIDを非表示/違反報告)
きりんりん(プロフ) - ねこ。さん» ただいま帰りました!ありがとうございます!!とても嬉しいです……これからも頑張ります……!!(TдT) (2018年5月27日 14時) (レス) id: ab681eea32 (このIDを非表示/違反報告)
きりんりん(プロフ) - 雪音さん» 無事帰ってこれました!ありがとうございます!これからもよろしくお願いします(*^^*) (2018年5月27日 14時) (レス) id: ab681eea32 (このIDを非表示/違反報告)
きりんりん(プロフ) - 彩夏さん» ありがとうございます!これからもよろしくお願いします!(*´∀`) (2018年5月27日 14時) (レス) id: ab681eea32 (このIDを非表示/違反報告)
ねこ。 - お帰りなさい!!私はこの作品と作者様が大好きです!!自信を持ってこれからも頑張って下さい!! (2018年5月27日 12時) (レス) id: 8444393bfc (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:きりんりん | 作成日時:2018年4月4日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。