『不覚にも、胃袋を掴んでしまった』 2 【HQ】

57皿目 ページ15

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「ちょっと、駒米ちゃん何その満更でも無さそうなリアクション？！」



「おい工、駒込に何やってんだ！！」
　


天童さんと瀬見さんが野次を飛ばしながら、私と工くんとを引き離す。



その間も、私は照れからくる赤面に追い込まれ、タジタジなリアクションをやめられない。



『け、結婚……』



ちら、と牛島さんを見ると、牛島さんは唖然とした顔で、自分の心臓のあたりを触っていた。



「その症状、覚えがある。＿＿俺は、病気なのか？」



「違うから、若利くん！！ 言葉のあやだから！！」



鋭いツッコミ。
ど天然な牛島さんと天童さんとのいつもの会話が聞こえてた。



それらの様子を俯瞰していた大平さんが、おおらかに笑いながら、私の肩を叩き思考を現実に引き戻してくれる。



「……駒米、はっきり言ってあげたらどうだ？」



指を指す方には、瀬見さんに(なぜか)ぐちぐち怒られている五色工くんが。



『五色工くんっ！』



私の声に、工くんは振り向いた。
瀬見さんも、牛島さんも、天童さんも、みんなみんな振り向いた。



『結婚は出来ません、ごめんなさい』



単純な言葉だけど、精一杯の気持ちを込めて、工くんに向かって言葉を紡いだ。



そして、勢いよく頭を下げた。



『でも、ありがとう』



床に言葉が反響した。
なんだか今日は妙に食堂が静かな気がしてきた。



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