53皿目 ページ11
*
「あぢぃいい……!!」
『ねぇ、もうすっかり夏が近づいてるね』
「つい最近まであんなに雨が降ってたのに、ハンパないですね!!!」
『……あはは、夏が近いだけじゃなくて、五色くんと一緒だからってのもあるかもしれないなぁ』
はははは、と笑いながら、二人で真っ黒なアスファルトを踏みしめる。
日曜日の午後、午前練習が終わり、私達二人はジャージのまま、学校の外を歩いていた。
五色工くん。
ぱっつん前髪に、熱血魂を持つ期待の一年生エース。
『そういえば五色くんと二人になる機会ってなかなかないかも』
ふと思いついたようにそう言えば、五色くんは当然です! とでも言いたそうに頷いた。
「駒米先輩には護衛がたくさんいるので!」
『……護衛?』
「ハイ! 迂闊に近寄ったら痛い目見ます」
爽やか……ではないか、熱意を持って言われて、私は首を傾けた。
いやいや、私には護衛なんて居ないけど。
「ところで、なんで俺たち外に出てるんですか?」
『え? 知らないで歩いてたの?』
「はい!!」
私は目を見開いて、片眉を上げた。
うん、なかなか斬新なタイプだ。
定食屋の頃にも居なかったし、白鳥沢に入ってからも出会わなかったタイプ。
『さっき瀬見さんが説明してくれてたよ……五色くん、話はちゃんと聞かないと、後々困っちゃうよ?』
「おお! それよく言われます!」
おお! の声の明るさと熱意とに、私は思わずからから笑ってしまった。
五色くんは何か不思議なのか、私をまじまじと見つめている。
「先輩の笑う顔、子供みたいですね」
『え、こ、子供……?』
悪びれもなくニッと笑う五色くん。
私、そんなに子供っぽい笑い方をしているのか? っていうかそもそも私、まだ未成年だから子供だし。
「普段は大人っぽいんで、なんか意外です。……はっ、これがギャップ萌えか……!!」
『ギャップ萌えは違うと思う……』
はしゃぎだした五色くんを見ながら、私は照り返しのきついアスファルトを進む。
もうすっかり夏だ。
夏休みまでもう数週間。
私が白鳥沢に来て、どのくらいたった?
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きりんりん(プロフ) - 道化師さん» ありがとうございます!!言葉選び……そこまでしっかり読んでくださってるのですか!!嬉しいです!!ありがとうございます!!( ;∀;) (2018年5月27日 14時) (レス) id: ab681eea32 (このIDを非表示/違反報告)
きりんりん(プロフ) - ねこ。さん» ただいま帰りました!ありがとうございます!!とても嬉しいです……これからも頑張ります……!!(TдT) (2018年5月27日 14時) (レス) id: ab681eea32 (このIDを非表示/違反報告)
きりんりん(プロフ) - 雪音さん» 無事帰ってこれました!ありがとうございます!これからもよろしくお願いします(*^^*) (2018年5月27日 14時) (レス) id: ab681eea32 (このIDを非表示/違反報告)
きりんりん(プロフ) - 彩夏さん» ありがとうございます!これからもよろしくお願いします!(*´∀`) (2018年5月27日 14時) (レス) id: ab681eea32 (このIDを非表示/違反報告)
ねこ。 - お帰りなさい!!私はこの作品と作者様が大好きです!!自信を持ってこれからも頑張って下さい!! (2018年5月27日 12時) (レス) id: 8444393bfc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きりんりん | 作成日時:2018年4月4日 23時