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#瞳 ページ7

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「ーー残念ながら、鬼舞辻無惨の痕跡はどこにも見当たりませんでした。申し訳ございません」


「…そうか」






声を落としたお館様に、倒した鬼のことを報告する。

すると、お館様は微かに笑みを浮かべて言った。






「浅草は人が特に集まる町だからね。鬼舞辻の件は悔しいが…、二人が無事で居て嬉しい。次も宜しく頼むよ」



「「御意」」






無一郎と声を揃えて返事をし、早足でその場を後にした。






「任務も終わったし…、どこ行く?」


「Aの屋敷に行きたいところだけど……無理っぽいね」


「?」






彼の言葉に首を傾げると、近くから聞き慣れた声が聞こえてきた。

一瞬体が強張り、すぐさま近くにいた無一郎から距離を取る。






「へぇ、興味深いですね!……って、A!?と、む、無一郎くん…!」


「おや?偶然ですね」






角から出てきたのは、杏香としのぶさんの二人だった。

軽く会釈をすると、しのぶさんは笑い返してくれる。






「お二人は任務の帰りですか?」


「はい、丁度報告から帰ってきた所なんですよ!」






と話していると、杏香は白い頬を赤く染め無一郎に口を開いた。






「無一郎くん…その、一緒に食事でも行かない?」


「え?食事?」


「あっ強制じゃないから、別に断ってもいいよ…?」


「……」






横を見なくても分かる。

めちゃくちゃ困ってる、これは。



やれやれ、と私は杏香に退いてもらおうと彼女の方に体を向ける。






「………杏香、」






そのとき、今にも泣き出しそうな彼女の瞳と目が合った。



助けて、

と言わんばかりのそれに囚われて、









「行ってきなよ!時透くんと!」









口が勝手に動いてしまった。




何言ってんだろ、私。

本当はこんなこと、思ってない筈なのに。









「…分かった」


「!」









だけど、無一郎も頷いてしまい遂に私は言葉に詰まった。

嬉しそうに笑顔をこぼした彼女を見て、首を締め付けられるような感覚に襲われる。






「楽しんできて!」






それでも、私の口は止まらない。

そんな私のことを、しのぶさんは黙って見つめていた。

#エール→←#色気



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Runa - 紅乱さん» 一気読みだなんて!めちゃくちゃ嬉しいです!杏香をそのように言ってもらえありがとうございます!! (2020年1月18日 11時) (レス) id: e03723cf47 (このIDを非表示/違反報告)
Runa - 永久さん» 最後までお読み頂きありがとうございます!!貴方様のコメントで泣きます!!!!! (2020年1月18日 11時) (レス) id: e03723cf47 (このIDを非表示/違反報告)
永久(プロフ) - 完結おめでとうございます!!もう本当に!!泣きます!!!!! (2020年1月17日 17時) (レス) id: 75d8805815 (このIDを非表示/違反報告)
紅乱 - 今日見つけて一気読みしてしまいました!杏香ちゃん良い子すぎて泣ける…… (2020年1月16日 21時) (レス) id: 649e22ca45 (このIDを非表示/違反報告)
Runa - 雫さん» それなあああです!!こんな親友私もめちゃ憧れます! (2020年1月16日 18時) (レス) id: e03723cf47 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Runa | 作成日時:2019年12月5日 23時

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