#私 ページ38
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「離れ離れになるなんて、私は望んでいない。杏香とこれから先一緒じゃないのは絶対に嫌だ」
「………A… 」
ギリ、と唇を噛みしめ私は言う。
「傷ついたこともあったし、憎んだときもあった。けど、それでも嫌いになりきれなかった。どうしてか分かる？」
「……」
「杏香は、
私に似合う髪飾りを選んでくれた。
鬼から身を挺して庇ってくれた。
私のことを好きでいてくれた。
…貴方は、私にとって大切な親友なの」
私は彼女に酷いことをした。
無一郎への恋心を知っていながら、己の欲を優先し本当のことを打ち明けなかった。
彼女の身も心も怪我を負わせて、罪滅ぼしという名目で自分を正当化していた。
傍にいて傷つけるのは、
彼女に憎まれるのは、
全部、杏香じゃなく私の方だ。
「私は寺山とかいうヤツに襲われてもやり返してみせる。お願い、私の傍にいて」
「…そ、れは」
言い淀む彼女に、私はあることを思いつく。
「私たち、 親 友 でしょ？」
そう意地悪く、歯を見せて笑ってみせた。
すると、彼女は折れたように力を抜いて笑い返してくれる。
「…ふふ、そうだった」
笑いを堪えきれていない彼女に、私は頬を指差してある頼み事をする。
「杏香も私の頬を叩いて。私は一回、杏香から離れようとした。私もさっき叩いたし？」
「ふっ、Aらしいね」
「じゃあ…遠慮なく」
パチン、と痕が残る勢いで強く叩いてくれた杏香と、再度存在を確認し合うため私たちは抱きしめあった。
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「……よかったね、A」
もう遥か遠くとなった杏香の背中を見つめていると、ふと無一郎からそう言われた。
横を見ずに頷くと、彼は私の手をそっと握る。
「そして、おかえり」
「…ただいま」
屈託無く笑った彼の手を握り返すと、するり絡め取られ恋人繋ぎにされる。
「………本当に、ありがとう」
「どうしたの急に」
「別に？？」
クスクス笑みを溢すと、彼は徐に私の頬に手を添えた。
淡い瞳に射抜かれたとき、そういえば今日は満月の日だったなと思い出す。
告白されたあの日も、満月だったっけ。
「 月が綺麗ですね 」
伝え終わると共に、私の口は優しく塞がれた。
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杏香
私、無一郎が好き
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Runa - 紅乱さん» 一気読みだなんて！めちゃくちゃ嬉しいです！杏香をそのように言ってもらえありがとうございます！！ (2020年1月18日 11時) (
レス) id: e03723cf47 (このIDを非表示/違反報告)
Runa - 永久さん» 最後までお読み頂きありがとうございます！！貴方様のコメントで泣きます！！！！！ (2020年1月18日 11時) (レス) id: e03723cf47 (このIDを非表示/違反報告)
永久(プロフ) - 完結おめでとうございます！！もう本当に！！泣きます！！！！！ (2020年1月17日 17時) (レス) id: 75d8805815 (このIDを非表示/違反報告)
紅乱 - 今日見つけて一気読みしてしまいました！杏香ちゃん良い子すぎて泣ける…… (2020年1月16日 21時) (レス) id: 649e22ca45 (このIDを非表示/違反報告)
Runa - 雫さん» それなあああです！！こんな親友私もめちゃ憧れます！ (2020年1月16日 18時) (レス) id: e03723cf47 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Runa | 作成日時：2019年12月5日 23時
