#相違点 ページ24
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「はい、もう任務に出ても支障は出ないでしょう」
「ありがとうございます!」
まだ右足は痛む。
だけど長時間酷使しなければ、きっと我慢できるだろう。
しのぶさんに笑ってお礼を言うと、彼女は何故か眉を下げた。
「あの、良ければ当時の状況を教えてくれませんか?」
「上弦の参…ですか?」
「はい」
正直思い出すだけで悔しさが蘇り、ギュッと手を握り締める。
重い雰囲気の中、私は事の一部始終を話した。
「美樹さんの判断で、貴方は上弦と一人で戦った…と?」
「はい。いくら乙でもあの数を相手にするのは骨が折れそうだったので」
「……成程」
遭遇したときから鎹烏に増援を頼んでいた、とも付け足す。
すると、しのぶさんは何か考え込んでしまった。
「…でも攻撃を直に受けて、他の鬼にやられそうになったところを杏香が庇ってくれたんです」
「!」
「私は彼女に命を救われました」
今も音を鳴らしている心臓に手を当てる。
「それで美樹さんを襲った鬼を斬り、猗窩座の頸に刀を刺したんですが…この通り、やり返されてしまい……」
と顔を俯かせると、彼女はいつもの凛とした綺麗な声で言葉を紡いだ。
「………貴方は立派な柱ですよ」
「、でも」
「今すべきことを判断して後輩を守り、上弦に立ち向かった。怪我はありましたが、それでも誰も死んでいません。
ちゃんと、生きているんです」
' だから胸を張ってください '
そんなしのぶさんの言葉に、私は涙が目の淵へと溜まるのが分かった。
「…ですが、それは貴方が嘘を吐いていなかったときの場合です」
「え?」
「花河さんと梅宮さんの話では、所々相違点があります」
話が噛み合ってないってこと?
どうして?
また美樹さんが嘘を吐いたっていうの??
「……」
「私は貴方が嘘をつくとは思えませんので、貴方を信じようと思っていますが…他の柱は……」
「…私は煉獄さんに、
生きて大切な人を守り通せと言われました。
お前を信じていると託されました。
他の柱に信用してもらえないのは…正直言って、かなり傷つくと思います。
けど!
そんなことに悩んで救える命も救えないことの方が私は嫌です!
だから、大丈夫です。
信じてくださりありがとうございます」
言葉を濁したしのぶさんに、私はそうにっこり笑ってみせた。
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Runa - 紅乱さん» 一気読みだなんて!めちゃくちゃ嬉しいです!杏香をそのように言ってもらえありがとうございます!! (2020年1月18日 11時) (レス) id: e03723cf47 (このIDを非表示/違反報告)
Runa - 永久さん» 最後までお読み頂きありがとうございます!!貴方様のコメントで泣きます!!!!! (2020年1月18日 11時) (レス) id: e03723cf47 (このIDを非表示/違反報告)
永久(プロフ) - 完結おめでとうございます!!もう本当に!!泣きます!!!!! (2020年1月17日 17時) (レス) id: 75d8805815 (このIDを非表示/違反報告)
紅乱 - 今日見つけて一気読みしてしまいました!杏香ちゃん良い子すぎて泣ける…… (2020年1月16日 21時) (レス) id: 649e22ca45 (このIDを非表示/違反報告)
Runa - 雫さん» それなあああです!!こんな親友私もめちゃ憧れます! (2020年1月16日 18時) (レス) id: e03723cf47 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Runa | 作成日時:2019年12月5日 23時