検索窓
今日:1 hit、昨日:5 hit、合計:122,310 hit

#柱 ページ22

.









.









「師範!!!」


「え、う、そでしょ…?」






華奢な彼女の体に似つかわない、大きい爪痕。

杏香、と呼ぶと彼女がまだ小さく呼吸をしているのを見て安堵する。






「邪魔ガ入ッタナアアア?」


「!」






すると、鬼は機嫌を悪くしたのかまたも私に爪を振りかざす。

必死に先程手放した私の刀を探すと、美樹さんが鬼の腕を斬った。






「アンタ、それでも柱かよ!?!?」






そんな彼女の声に一瞬息が止まる。

だが、何とか見つけた私の薄紅色の刀を握り杏香を木の後ろに隠す。









.









.









彼女の髪飾りは、真っ二つに割れていた。









.









.









「……」






そのとき、美樹さんの悲鳴が耳に入る。

私は刀を握り直し、今にも彼女の刀を折ろうとする鬼の首を一瞬で刎ねた。






「!?頭から血が…」


「ごめんなさい、美樹さん。杏香を頼みます」






それだけ言い残し、私は今にも去ろうとする猗窩座の元へと走る。

その速さを刀に上乗せして、私は振り返ろうとする彼の頸へと刃を食い込ませた。






「まだ生きていたか……」






だが斬り終える前に拳を振り抜かれ、止む終えなく刀を手放す。

そして嬉々とした表情の彼に、私はこう告げた。






「ねぇ、猗窩座。あと少しすれば柱達がここへ到着するの」


「…は?」


「狡い手を使ってごめんなさい。でも鬼殺隊である以上、そんな悠長なことは言ってられないから」






貴方を殺さなくてはならない。


こめかみに皺を寄せて怒る彼を、私は更に揺さぶる。






「どうする?……また逃げる?」






その言葉を聞いた瞬間、彼の目の色が変わった。

迫ってくる拳に、私は先程拾った杏香の刀を抜いて応戦する。






「ぐッ!!」






だがそれは偽造(フェイク)だったようで。


彼の頸に刺した筈の刀が、今度は私の右足を貫通していた。

言い様もない痛みが襲いかかり、呻き声をあげる。






「鳩尾を狙うつもりが逸れてしまったな…」






そう言い、彼は私の顎を掬った。

だがその反面、私の刀は彼の頸をしっかり捉えている。






「…A、俺はお前を気に入った」


「は、」


「もっと強くなれ。次会った時を楽しみにしている」






と言い残し、彼は彼岸花を背にして暗闇へと消えていった。




ーーああ、クソ。


私は朦朧とした視界の中、悔しさだけを胸に抱いて意識を手放した。

#生きてる→←#人



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (188 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
261人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 時透無一郎 , 悪女
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

Runa - 紅乱さん» 一気読みだなんて!めちゃくちゃ嬉しいです!杏香をそのように言ってもらえありがとうございます!! (2020年1月18日 11時) (レス) id: e03723cf47 (このIDを非表示/違反報告)
Runa - 永久さん» 最後までお読み頂きありがとうございます!!貴方様のコメントで泣きます!!!!! (2020年1月18日 11時) (レス) id: e03723cf47 (このIDを非表示/違反報告)
永久(プロフ) - 完結おめでとうございます!!もう本当に!!泣きます!!!!! (2020年1月17日 17時) (レス) id: 75d8805815 (このIDを非表示/違反報告)
紅乱 - 今日見つけて一気読みしてしまいました!杏香ちゃん良い子すぎて泣ける…… (2020年1月16日 21時) (レス) id: 649e22ca45 (このIDを非表示/違反報告)
Runa - 雫さん» それなあああです!!こんな親友私もめちゃ憧れます! (2020年1月16日 18時) (レス) id: e03723cf47 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:Runa | 作成日時:2019年12月5日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。