#柱 ページ22
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「師範!!!」
「え、う、そでしょ…?」
華奢な彼女の体に似つかわない、大きい爪痕。
杏香、と呼ぶと彼女がまだ小さく呼吸をしているのを見て安堵する。
「邪魔ガ入ッタナアアア?」
「!」
すると、鬼は機嫌を悪くしたのかまたも私に爪を振りかざす。
必死に先程手放した私の刀を探すと、美樹さんが鬼の腕を斬った。
「アンタ、それでも柱かよ!?!?」
そんな彼女の声に一瞬息が止まる。
だが、何とか見つけた私の薄紅色の刀を握り杏香を木の後ろに隠す。
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彼女の髪飾りは、真っ二つに割れていた。
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「……」
そのとき、美樹さんの悲鳴が耳に入る。
私は刀を握り直し、今にも彼女の刀を折ろうとする鬼の首を一瞬で刎ねた。
「!?頭から血が…」
「ごめんなさい、美樹さん。杏香を頼みます」
それだけ言い残し、私は今にも去ろうとする猗窩座の元へと走る。
その速さを刀に上乗せして、私は振り返ろうとする彼の頸へと刃を食い込ませた。
「まだ生きていたか……」
だが斬り終える前に拳を振り抜かれ、止む終えなく刀を手放す。
そして嬉々とした表情の彼に、私はこう告げた。
「ねぇ、猗窩座。あと少しすれば柱達がここへ到着するの」
「…は?」
「狡い手を使ってごめんなさい。でも鬼殺隊である以上、そんな悠長なことは言ってられないから」
貴方を殺さなくてはならない。
こめかみに皺を寄せて怒る彼を、私は更に揺さぶる。
「どうする?……また逃げる?」
その言葉を聞いた瞬間、彼の目の色が変わった。
迫ってくる拳に、私は先程拾った杏香の刀を抜いて応戦する。
「ぐッ!!」
だがそれは
彼の頸に刺した筈の刀が、今度は私の右足を貫通していた。
言い様もない痛みが襲いかかり、呻き声をあげる。
「鳩尾を狙うつもりが逸れてしまったな…」
そう言い、彼は私の顎を掬った。
だがその反面、私の刀は彼の頸をしっかり捉えている。
「…A、俺はお前を気に入った」
「は、」
「もっと強くなれ。次会った時を楽しみにしている」
と言い残し、彼は彼岸花を背にして暗闇へと消えていった。
ーーああ、クソ。
私は朦朧とした視界の中、悔しさだけを胸に抱いて意識を手放した。
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Runa - 紅乱さん» 一気読みだなんて!めちゃくちゃ嬉しいです!杏香をそのように言ってもらえありがとうございます!! (2020年1月18日 11時) (レス) id: e03723cf47 (このIDを非表示/違反報告)
Runa - 永久さん» 最後までお読み頂きありがとうございます!!貴方様のコメントで泣きます!!!!! (2020年1月18日 11時) (レス) id: e03723cf47 (このIDを非表示/違反報告)
永久(プロフ) - 完結おめでとうございます!!もう本当に!!泣きます!!!!! (2020年1月17日 17時) (レス) id: 75d8805815 (このIDを非表示/違反報告)
紅乱 - 今日見つけて一気読みしてしまいました!杏香ちゃん良い子すぎて泣ける…… (2020年1月16日 21時) (レス) id: 649e22ca45 (このIDを非表示/違反報告)
Runa - 雫さん» それなあああです!!こんな親友私もめちゃ憧れます! (2020年1月16日 18時) (レス) id: e03723cf47 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Runa | 作成日時:2019年12月5日 23時