#人 ページ21
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と大口を叩いたものの、
猗窩座の実力は私を遥かに凌いでいた。
「杏寿朗程ではないが、流石の柱だ!雑魚とは比べものにならないな」
「うるさい、ッ!」
迫り来る乱撃を躱しきれず、所々の箇所から出血をする。
それでも何とか致命傷に至っていないのは、元々優れていた察知能力のおかげ。
「お前も殺すのには惜しい!どうだ、決意は変わったか?」
「変わるかよばーか」
「…頑固な奴だ」
すると、猗窩座は急に攻撃の手を止めた。
何事かと痛む腕を押さえ、彼の方向を見やる。
「鬼の素晴らしさを教えてやろう。それは、再生能力が備わっていることだ」
……何を当たり前のことを?
猗窩座はその能力を見せつけるよう、自ら自分の左腕を破壊した。
すると砕けたその腕が、一瞬でぶくぶくと再生していく。
「…………速い」
他の鬼の数倍も再生速度が速い。
驚く私に、彼は身体能力も飛躍的に上がったと自慢げに語る。
「いつまでも納得いくまで鍛錬できる。それだというのに、何故お前らはそれを拒む?俺には到底理解ができない」
教えてくれ、と聞く彼に私は笑って答えた。
「だって、鬼はつまらないじゃない」
「人は生まれてから死ぬまで、限られた時間の中様々な体験や感情に出逢える」
「美しく、儚く、そして哀しい。鬼となってしまってはそれさえも半減してしまう」
「だから私は、人として天寿を全うしたいの」
そう言うと、彼はより一層笑みを深めた。
つぅ、と背筋に冷たい汗が流れる。
「ならば殺すしかないな…、」
《 破壊殺 脚式 流閃群光 》
「ッ!!」
突如、物凄い衝撃が私に襲いかかり何十メートルも後ろに吹き飛ばされた。
背中を木に強打し、思わず呼吸が乱れる。
「A!!」
杏香の叫び声に目蓋を開けると、目の前に私の何倍も大きい鬼が立っていた。
ギラリと光った鋭い爪を見て、体に最後の力を振り絞るももう遅い。
そうして、鬼の爪は私へと振り下ろされた。
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否、間一髪それは免れた。
「うっ、ガアッ!!!」
ーー杏香の身体と、引き換えにして。
「そ、んな……」
血飛沫が私の顔へと降り、彼女は背中に大きい爪痕を残して私にもたれかかった。
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Runa - 紅乱さん» 一気読みだなんて!めちゃくちゃ嬉しいです!杏香をそのように言ってもらえありがとうございます!! (2020年1月18日 11時) (レス) id: e03723cf47 (このIDを非表示/違反報告)
Runa - 永久さん» 最後までお読み頂きありがとうございます!!貴方様のコメントで泣きます!!!!! (2020年1月18日 11時) (レス) id: e03723cf47 (このIDを非表示/違反報告)
永久(プロフ) - 完結おめでとうございます!!もう本当に!!泣きます!!!!! (2020年1月17日 17時) (レス) id: 75d8805815 (このIDを非表示/違反報告)
紅乱 - 今日見つけて一気読みしてしまいました!杏香ちゃん良い子すぎて泣ける…… (2020年1月16日 21時) (レス) id: 649e22ca45 (このIDを非表示/違反報告)
Runa - 雫さん» それなあああです!!こんな親友私もめちゃ憧れます! (2020年1月16日 18時) (レス) id: e03723cf47 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Runa | 作成日時:2019年12月5日 23時