love store…xx 2片寄涼太

# ページ15

電車を降りると



ムオォォオォォォンっと
夏の空気の熱さがいっきにきた。




歩き出すと

ミーン ミーン
蝉の声がそこかしこから聞こえる。
蝉は今日も元気だな。


あっちのほうに蜃気楼が。
気のせいか？水たまりが。



「電車の中って涼しいから
暑さ忘れてたよ……」



「俺も」




「暑いね……涼太くん」



「暑いねAちゃん」




「蝉ってさミーンミーンって
鳴くじゃない？
なんて言ってるんだろうね？」


「朝だから
おはようーー！おはようーー！
じゃない？」



「じゃぁお昼に鳴いてる蝉は？」



「腹減ったー腹減ったー
じゃない？」



「あはは！ほんとにそう言ってそう！

授業中に聞いたら笑っちゃうな私」



「俺も。」




「Aちゃん、こっちちょっと
日陰になったから
こっち側歩きなよ」





「ありがとう


はー…日陰は涼しいな」




「私だけごめんね。
涼太くんも暑いのに…






あ、私うちわ持ってるんだった！





これ使って！」



「ありがとう」


彼女が差し出してくれた
うちわを受け取って
扇ぐと



ふわっふわっと彼女と同じ
あまい香りがうちわから香った。



だから、俺はめちゃくちゃ扇いだ。笑




「暑いよね。ほんとごめんね！」




「全然大丈夫！」



「もうちょっとで学校つくからね！」




彼女と朝、電車を降りてから

学校までの道のりを一緒に

歩いたことは2、3回くらい。


でも途中で友達に会ったりして
一緒に下駄箱までいったことは
まだ一度もなかった。

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