◇2 ページ14
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
櫻井さんはトマトソースのパスタを、私は彼にオススメされたオムライスを注文して。
電話の着信に「ちょっとごめんね」と席を外した櫻井さんの背中を見てから、月に一度は足を運ぶようになっていた店内を見渡した。
ちょっと潤さんに似た雰囲気……顔が濃いめなのも似てる……のマスターは、楽しそうに嬉しそうに注文した料理を作っていて。
お店の入口見て左手にある客席とは逆側……右側の奥にある雑貨店ではディスプレイを変えていたお兄さんが腰に手を当てて満足そうに微笑んでいて。
私の背中の方から聞こえてくる猛烈なタイピング音から察するに、犬顔の可愛らしい店員さんはＰＣと格闘中なんだろう……隣のソファからジト目で私を見てる男性のことは、見なかったことにしよう。
ここかしこに溢れてる柔らかい雰囲気と優しい空気は、きっと先代のお爺ちゃんがお店をやっていた頃からのものなんだろうなと思いつつ。
私も櫻井さんの会社で働いて、役に立てて、こんなお店みたいな柔らかくて優しい雰囲気を出せるようになれたら……少しでも櫻井さんの気が休まる存在になれたらいいな……なんて、そんなことを考えながら。
電話を終えた櫻井さんが席に戻ってくるのを見計らっていたのか、タイミング良く給仕された料理は、やっぱりとても美味しくて。
「美味しい……しあわせ」
「でしょ、美味しいよね」
「ふふっ……そんなに慌てて食べなくても、料理は逃げませんよ？」
「いやぁ……なんか、頬張っちゃうクセがあるんだよね……」
「かわいいからいいですけど」
「へっ……！？」
唇の端にトマトソースをちょっとだけ付けた櫻井さんは、可愛いやらあざといやら齧歯類みたいに頬を膨らませてるやらで。
「オムライスも食べます？」
「……えっ、あぁ、良いの？」
「その代わり、ひとくち下さい」
「うん、まぁ、それは全然……」
以前からカズ兄や雅紀くんと料理をシェアして食べるのに慣れてる私は、櫻井さんの少し困ったような慌てたような様子に気付くハズもなく。
「うまっ」
「これも美味しいっ」
「でしょ？次に来た時は違うパスタにしてみようかなぁ……ハンバーグも気になる……」
「じゃあ、また来ましょうか」
「……ん？」
「一緒に来て、一緒に食べましょう」
パチパチと、音でもしそうな瞬きをした櫻井さんは、小さく。
「……うん」
◇3→←◇彼がやっぱりご機嫌ナナメなワケ (2018/01/27)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1900人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黒衣(プロフ) - 結城さん» 楽しんで頂けているようで嬉しいです！ちょいちょいすれ違うのがこのふたりの醍醐味と申しますか(笑) 早く気付いてくれると私も楽なんですけどね(笑) (2018年5月12日 18時) (
レス) id: 9cf8dc8670 (このIDを非表示/違反報告)
結城(プロフ) - 2人のすれ違いの関係にニヤニヤしてます！早く惹かれ合ってることに気付かないかな〜(〃ω〃) (2018年5月11日 7時) (レス) id: 3f7c57052f (このIDを非表示/違反報告)
黒衣(プロフ) - あいさん» レス遅くなりました…(汗) 智くんも背後霊ですからね…ふふふ。翔さんの想定外、フリーズしたりアワアワしたりムスッとしたりしてるのを想像するとそれだけで…えへへ(*'ω'*) ニノちゃんのこのキャラも好きなので、楽しんで頂けて嬉しい〜！ (2018年5月3日 17時) (レス) id: 9cf8dc8670 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - 大野さんと主人公ちゃん、何かあったの？翔さんの想定外についていけてない姿を想像するだけでウフフフフッ(*´∇｀*)そして、ニノちゃん可愛いよ〜知ってるよ〜今悪魔してるけど(笑) (2018年4月23日 12時) (レス) id: cdabb1149e (このIDを非表示/違反報告)
黒衣(プロフ) - めぐぽん(*´･∀･)さん» ワタワタしてる翔さん、想像するとめたくそ可愛いですよね…私ニマニマしながらカタカタしましたもん(笑) めぐぽんさんに続き楽しんでもらえるように頑張らねば！( ｰ`дｰ´)ｷﾘｯ (2018年4月17日 3時) (レス) id: 9cf8dc8670 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
