◇13 (2017/05/14) ページ13
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「ぶふっ……ちょ……腹いてぇ」
『ちょっと〜！おーちゃん！』
『笑ってないで授業してよ〜』
「ブルッ……くくくくくっ」
『あ〜もぅ、始まっちゃったよ〜』
『こうなったらおーちゃん長いよね〜』
授業を中断して腹を抱えて笑い転げている大野先生に、これ以上の文句を言うクラスメイトはいなくて。
むしろ、楽しそうに可笑しそうにころころと笑い続けている大野先生を見ているうち、笑いも伝染し始めてしまっていた。
大野先生は、何だか不思議な存在で。
合唱コンクールで人気者になったのは間違い無いんだけど……それとは別に、生徒の信頼を築き上げていたんだ。
それは、先生達からしてみれば子供な私達からの質問に、『普通』とか『常識』っていう観点から答える事が無かったからだと思う。
「はぁ……はぁ……苦し……」
思いっきり笑っていた大野先生は、うっすら汗をかいていた額を手の甲で拭うと、えへへ……と照れ臭そうに笑った。
「あんだっけ……数学の必要性？」
『そうだよ！おーちゃん！』
『なんで数学必須なの？』
「ん〜、そうだなぁ……」
窓側にある教師用の机に置かれていた、コロコロ付きの椅子を教壇まで引っ張ってくると。
よいしょ……と腰掛けて背凭れに寄り掛かりながら、頭の後ろで手を組んで唇を尖らせながら天井を見た。
「将来、社会に出てからの応用力を鍛えるため……とかじゃねえかな」
『えぇ〜？なにそれ〜』
『そのために必要なの？』
「だっておめえらさ、こんな狭い世界で生きてんのによぉ……どうやって鍛えんだよ、応用力」
『色々あるんじゃない？』
『部活とかもやってるし〜』
『他でも鍛えられるんじゃない？』
色々な所から上がってくる声に視線だけを向けながら、大野先生は尚も唇を尖らせたままで。
なんなら……目を細めて見下ろしているような表情をしながら、ひとつひとつの声を聞いているようにも見えた。
「ふぅん……ま、応用力無いまま社会に出たら、苦労すんのはおめえらの方だけどな」
つまらなそうに窓の外に視線を向けると、何かを思いついたように立ち上がって。
チョークを手に取ると、黒板に何やらチャート図のような物を書き始めた。
さすがは数学教師……定規なんて使わなくても真っ直ぐに書けるのが本当に凄い。
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すりおろし梨。(プロフ) - 何？ 大野先生 何？ (2021年9月7日 8時) (
レス) id: 2a65575bc9 (このIDを非表示/違反報告)
黒衣(プロフ) - のあさん» すぐ飛んできて下さったのですか！ありがとうございます！そして待っていて下さってありがとう。そう言って頂けてホッとします。楽しんで頂けるように頑張ります＆楽しんで頂けたら嬉しいです！ (2021年8月24日 3時) (レス) id: 9cf8dc8670 (このIDを非表示/違反報告)
黒衣(プロフ) - aracick5963さん» コメントありがとうございます！一気読み、嬉しいです。こんなゆるゆる先生いたら懐いたのにな〜と思いながらカタカタしております(笑) そして黒大野先生をご所望なんですね(笑) 出るかどうかお約束出来ませんが楽しんで頂けたら嬉しいです。 (2021年8月24日 3時) (レス) id: 9cf8dc8670 (このIDを非表示/違反報告)
黒衣(プロフ) - のりさん» と平静を装っておりますが。え！？のりさんじゃん！わーい！！覚えててくれたんだー！と、めっちゃ喜んでおりました(笑) このお話もお楽しみ頂けたら嬉しいです！ (2021年8月24日 3時) (レス) id: 9cf8dc8670 (このIDを非表示/違反報告)
黒衣(プロフ) - のりさん» お久しぶりです！忘れてませんよ！こちらこそ忘れずにいて下さってありがとうです！私の拙いお話を喜んで下さって本当に嬉しいです。お待たせしてすみません。待って下さってありがとう┏〇)) (2021年8月24日 3時) (レス) id: 9cf8dc8670 (このIDを非表示/違反報告)
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