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Ｍ「っ！！……翔さん」
俺を見た瞬間、潤の瞳の水分量が増して、薄く開いた唇が震えていて。
どうした…と声を掛けようとした俺を止めたのは、着信を知らせる携帯で。
その画面に、ニノの名前を見た時。
俺は強く目を瞑る他なかった。
閉じた瞼の裏に浮かんでは消える。
爺ちゃんの顔。
ニノの顔。
そして、雅紀の顔。
散々世話ばかり掛けてきておいて、やっと思いついた婆ちゃん孝行は間に合わないのか…。
どうして気付いた時すぐに行動しなかったんだ…と後悔の念ばかりが頭を駆け巡る。
婆ちゃんの部屋に着いた時、それよりももっと俺の胸を締め付けたのはニノの背中だった。
こんな時まで。
お前は俺達に譲るのか。
やっと動いた俺の体は、ニノの横を通り過ぎる時に、肩をポンと叩いてやる事しか出来なくて。
訳分かんなくなってる雅紀をこれ以上ない位に抱きしめながら。
これは現実だ、と言ってやりたいのに、カラカラになった喉からは声なんて出ねえ。
Ｎ「まーくん、悪戯じゃないよ。夢でもないし、ちゃんとした現実。死んじゃったんだよ、婆ちゃんは」
目を真っ赤にしながら、雅紀の顔を両手で挟んで、それでも真っ直ぐ目を見て話すニノは凛としていて。
その姿の向こう側に婆ちゃんを見た。
Ａ「……置いてかないでよ」
微笑むようにして横たわっている婆ちゃんに抱きついた雅紀が、ボソッと枯れた声で小さく呟いて。
この場所が、お前の家になってたのか…と心臓を抉られるような気持ちになって。
ぺたぺたと足音を鳴らしながら。
ニノが雅紀の背中を撫でて。
まるでそれが合図だったかのように、雅紀の身を切るような泣き声が響いた。
.
せめて俺くらいは、と。
ニノのご両親にもお願いをして、婆ちゃんの通夜も葬儀も、婆ちゃんを送り出す全てに関ったり同席させて貰ったりした。
俺が手伝いたいと申し出たのを、ニノのご両親は「言うと思った」みたいな顔をしながら快諾してくれて。
婆ちゃんが煙になって空に溶けていくのを見ている時は、流石に放心状態に陥ってしまったけれど。
もし。
人類愛の意味で「好意」について語って良いとするならば。
俺が初めて「好意」を抱いた女性は、貴女だったんだ…なんて言ったら、笑ってくれるだろうか。
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やっち(プロフ) - 続きお願いします! (2022年3月27日 20時) (
レス) @page50 id: aabe067d77 (このIDを非表示/違反報告)
aap(プロフ) - このお話の世界観が大好きです。何度も何度も読み直しています。後編も楽しみに待ってます。 (2021年9月7日 11時) (レス) id: 4a13db19c7 (このIDを非表示/違反報告)
和(プロフ) - 後編楽しみに待っています (2020年7月5日 21時) (レス) id: fa0e394fce (このIDを非表示/違反報告)
虹子(プロフ) - こんにちわ。このお話の後半戦は書かれないのですか？続きがとても気になります！待ってますね！ (2019年11月11日 17時) (レス) id: 8a57abc50f (このIDを非表示/違反報告)
ゆぃ(プロフ) - こんばんは。楽しんで拝見させて頂いてます。この続きが気になるのですが、続きは書かないのですか?? (2019年11月5日 20時) (レス) id: f2d39d6227 (このIDを非表示/違反報告)
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