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結局、着替えるのを諦めて、さっき閉めたばかりの扉の方に振り返りながら溜息をつく私を、自分の腕の中に収めたカズは。
どこか嬉しそうに「んふふ」と小さく笑いながら、私の頭の上に顎を乗せた。
「ちゃんとした契約、結びましょ」
『……え？』
「まさか、口約束だけだと思ってたワケじゃないですよね、アナタ」
『…………』
「……はぁ」
私の頭に顎を乗せたままくるんと体の向きを変えて、カズは扉に寄り掛かりながら。
私を腕の中に収めたまま、頭の後ろに掌を添えて腰に回した手で私を引き寄せて。
カズの肩に顔を埋めた私が感じたのは、彼の部屋で嗅いだ香りと同じもの。
「まぁ……俺も言ってなかったですけど、契約なんてモンはさ、何でも書面で交わすでしょうが」
『そうだけど……』
「一応ね、俺らにもあんのよ、契約書ってヤツが。だからソレをね、お願いしたいんですよアナタに」
『……ヤだって言ったら？』
「そうね……俺が吸う程のニンゲンだっていうのは俺達の中でも知ってるヤツらもいますからね……アナタが美味いんだろうって思うヤツらもいるでしょうね」
頭の後ろに添えられていた手が、ゆるゆると私の頭を撫でて。
腰に回されていた手は、ぽんぽんと私の背中を軽く叩いて。
まるで私がカズから大切にされているみたいな錯覚に陥ってしまう。
「アナタもイヤでしょ？どこの誰とも分かんない吸血鬼に好きなだけ吸われちゃうの」
『……ヤだ』
「ちゃんとした契約さえ結んじゃえば、アナタは俺のモンだってシルシも付けられる」
『……シルシ？』
「まぁ、ニンゲンには見えないモンだからさ、気にしなくて大丈夫……俺達の種族にしか見えないシルシだから」
そう言った彼の手がスルリと首筋に降りてきて、首の後ろの付け根をトントンと指先で叩く。
「ココにね、俺のモンだってシルシが出る……それがお前を守ってくれるから」
そのまま手は背中に回されて。
まるで彼に全身を包まれてるみたいになって……それが、どうしてか彼に守られてるみたいな感覚を連れてきて。
コテンと彼の肩に頭を預ければ。
彼はまた「んふふ」と小さく笑って。
ふぅ……と小さく息を吐くと。
私の頭に自分の鼻先を埋めて、まるで擦り寄ってるみたいにして、クスクスと笑っていた。
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黒衣(プロフ) - すいれんさん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けたようで嬉しいです♪ 不定期更新ゆえ、お待たせしておりますが…(汗) 翔さんと歩美さんを気に入って頂けて嬉しい＆私もあのふたり好きなんです♪ また楽しんで頂けるように頑張りますね！ (2018年9月19日 2時) (
レス) id: 9cf8dc8670 (このIDを非表示/違反報告)
すいれん(プロフ) - とても楽しく見させて頂いてます。次の松本さんの回がとても楽しみです！特にお気に入りのカップルが櫻井さんと歩美さんです。これからも頑張ってください！ (2018年9月15日 21時) (レス) id: a60a572cae (このIDを非表示/違反報告)
黒衣(プロフ) - ジュンさん» 小悪魔黒服サン、少し淋しい事を伝えてましたが…そんな事にならないと良いですよねぇ…。激甘でも振り回されても良いとは…(確かに！と思ってる)楽しんで貰えて＆私も好きな話なのでホント嬉しいです！(*'ω'*)♪ (2017年7月18日 13時) (レス) id: 9cf8dc8670 (このIDを非表示/違反報告)
黒衣(プロフ) - ぐちこさん» こんにちは！お待たせしてます(汗) 小悪魔さんが小悪魔してます♪彼の言葉選びは秀逸なので近付けられないのが心苦しいですが、するっと潜り込む術は私も欲しいです。そして私の所にも来て欲しいです(おい) (2017年7月18日 13時) (レス) id: 9cf8dc8670 (このIDを非表示/違反報告)
ジュン(プロフ) - 小悪魔…なんか少し淋しい事言ってましたね。記憶を消されるような事がおきなきゃ良いなと思います。とにかくあの小悪魔君が決めたオンリーワンなので、激甘でもいい！色々と振り回されても大丈夫！とにかくこのお話大好きです！ (2017年7月17日 20時) (レス) id: 4c513d08fd (このIDを非表示/違反報告)
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