◆深緋 (2016/12/19) ページ19
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇s
旅先で恋人と些細な事で喧嘩をし、一緒に居たくなくて駆け込んだ森の中。
誘われる様に先に進んでいくと、深い森の中に綺麗な社があった。
お昼を過ぎた頃に旅館を飛び出したはずが、森の中は鬱葱と暗く、木々の枝葉が陽の光を遮って。
その森の中はまるで夕暮れ時のようで、足を進めるにつれて不安が増してくる。
引き返そうかと歩みを止めた時、ふと視界の端にスポットライトを浴びているかのように社が現れ。
多くの木々が覆い尽くす森の中で、その社の上だけはぽっかりと空間があいていた。
暗い場所に居るのがどんどん不安になって、その社に走って近寄ると。
鳥居をくぐった辺りで、ぽつんと立ち尽くし、空を見上げる男性の姿が見えた。
『……誰？』
視線も顔も、指先すら動かさず問いかけてくるその声は。
低いのによく通り、心を揺さぶられる様な甘さまで含んでいて。
その男性と距離が縮まると、その横顔がこの世のモノとは思えない程に美しい事に気付く。
すっ…とこちらを向いた彼は。
子供のように純粋無垢にも、仄暗い光を携えているようにも、どこか虚ろにも見えるくっきりとした二重の瞳で。
私を見ているようにも、私の背後…そのずっと先を見ているようにも感じられる絡まない視線を携え。
スッキリした鼻筋と、薄桃に色付いた頬、ぽってりと柔らかそうな紅い唇は薄く開いていて。
先程聞こえた声の主が彼だという事を知らせてくれた。
『……こんな所で、何してるの？』
柔らかく包み込んでくれそうな、それでいて一定の範囲に近寄られるのを拒絶しているようにも感じられる雰囲気は。
今までに感じた事の無いモノで。
ふらふらと、誘いこまれる様に吸い寄せられる様に、彼の立つ場所に近付いていくと。
２人の間の距離が短くなるにつれ、彼は私の方に体を向け。
その瞳で、真っ直ぐに私を見た。
『……キミの名前は？』
「……A」
『そう…A…Aね…忘れないように何度も呼ばないとね…』
すっ…と視線を下げ、足元辺りを見た彼の長い睫毛が陰を作って。
どこか幼さの残る表情とは相反する様な男らしい指先が、自分の唇を弄んだ。
A…A…と、何度も、何度も、私の名を囁いて。
また私に視線を戻した彼は、ふふっ…と微笑んで。
『A…覚えたよ？』
そう、囁いた。
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黒衣(プロフ) - あいさん» 私も言われて「なるほど！」と(笑) お好きな花で想像頂けると思うので、楽しんで頂けると♪ 「花は咲く」「ふるさと」は柔らかい色のお花が咲いてそうですね…インザルーム辺りは薔薇の茨も伸びてて欲しい願望がふつふつと…！たくさんの想い、繋がると良いですよね… (2018年3月22日 0時) (
レス) id: 9cf8dc8670 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - はなかっぱ！やっぱり浮かびました(笑)誰にどんな花が咲くんだろ。想像するだけでも楽しいしコンサートでも見たい。すごいだろーな。｢花は咲く｣や｢ふるさと｣も浮かんできて…たくさんの人の想いが繋がって少しでも心が豊かな社会になったらいいなって思いました。 (2018年3月21日 7時) (レス) id: 6cfe9042a6 (このIDを非表示/違反報告)
黒衣(プロフ) - 櫻さとみんさん» あぁ！はなかっぱ！懐かしい！(最近見てないw) ってブロッコリー(爆) 潤くんのスミレ超可愛いですね！小さいのがポコポコ生えて揺れてたら…くぅぅ。バラも朝顔も菖蒲も素敵…どの花でも似合いそうな５人がかわいいけしからんですね…楽しんでもらえたようで良かった♪ (2018年3月14日 19時) (レス) id: 9cf8dc8670 (このIDを非表示/違反報告)
櫻さとみん(プロフ) - 春夏秋冬 朝昼晩♪ はなかっぱ を思い出し 種類も違うのかな？って思い読んでました。雅紀は ヒマワリ。緑のブロッコリーでも良いな 笑。 翔さんは 情熱の真っ赤なバラ(≧▽≦) 松潤は スミレとかどう？ にのは朝顔。智は菖蒲 なんて。 とても暖かいお話でした(*´∀｀) (2018年3月13日 1時) (レス) id: 5cc42e1028 (このIDを非表示/違反報告)
黒衣(プロフ) - ひろさん» ひろさん、読んで下さって感謝です。きっとあります。ぽわぽわ咲いてます。えへって微笑む度にポコンって生えます。ドキドキしながら投下したのでホッとしたと言って貰えて嬉しいです。ドームの花まみれ、想像するだけで綺麗だろうなって。見てみたいな、って。 (2018年3月12日 15時) (レス) id: 9cf8dc8670 (このIDを非表示/違反報告)
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