◇2 ページ9
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
最初は相葉でも、彼を捕まえる事が出来なかった。
二宮は元々アクティブではなく頭脳派むしろインドア強硬派。
大野は身体能力が高いものの、その日の気分で仕事をやるか決める為にその日は役に立たなかった。
つまり、やる気のない２人に押し付けられた仕事と言っても過言ではなかったのだ。
やれやれ…と彼を探し始めた相葉だったが、初日は勿論見つけられる筈も無く。
彼の捜索を始めて３日目に、やっと視界に彼の姿を捉える事が出来たのだ。
その姿を目にした時、相葉は驚きを隠しきれなかった。
彼の視界に映ったのは、彼の姿だけでなく、彼の纏うオーラが『能力者』そのものだったからであった。
Ａ「え…？マジ！？まーくん、お前すっげえな！！！なに？なにができんの！？」
相葉は、子供が宝物を見つけた時のように瞳をキラキラと輝かせ、彼を誉めたたえる言葉を惜しみなく発したのである。
それが彼にとっては初めての経験で、向けられる憧れにも似た視線や称賛の言葉に胸を躍らせたのだ。
相手は、仕方なしに自分を探しに来たヒトだ。
信頼できる相手かどうかなんて、分かったものではない。
そんな気持ちを抱えながら恐る恐る相葉に近寄ると。
「ニカッ！」という文字でも背負っているかの様な笑顔を見せ、まるで押しつぶしているかのような勢いで彼の頭や顔をぐりぐりと撫でた。
未だ高鳴る胸をそのままに、彼は相葉の顔をぺろりと舐めてみた。
Ａ「ウヒャヒャ♪なんだよ〜！まーくん、くすぐったいよ〜♪」
そう言いながらも自分を撫でてくれる相葉に、彼が心を許すのに時間を要さなかった。
それからというもの。
家を脱走しては最下層まで逃げ回り、相葉が自分を全力で捕まえに来るまで戻らない…という、毎月の習慣が生まれたのだった。
彼が相葉を見つめる瞳は優しく、相葉が彼を見つめる瞳もまた優しい。
彼は相葉に会える事が嬉しくもあり、そのたびに彼の優しさをひっそりと心配している。
自分がヒトの言葉を話せたなら…。
そうすれば、彼の闇を少しでも拭ってやる事が出来るのではないか…。
そう考えながら今日も無邪気に相葉から逃げ回った彼の気持ちを、相葉が知る方法は、残念ながら無かった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 362人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黒衣(プロフ) - ジュンさん» 逝ってしまいましたね…ジュンさんのおっしゃるような存在だったと思うので、そりゃあね…書いてる本人が切なくなってましたよ…。ニノちゃんのいろんな場面で傍に居てくれるのは、出来うる限り翔さんが良いな…なんて思ってます。 (2016年11月14日 18時) (
レス) id: 3e7f7417c4 (このIDを非表示/違反報告)
ジュン(プロフ) - しのぶが逝っちゃった。ニノにとってはお姉さんのような母のような師匠のような、どれもそうで違うような、大切な人だったのにね。今回もつくづく翔ちゃんが居てくれて良かったです。 (2016年11月14日 6時) (レス) id: 4c513d08fd (このIDを非表示/違反報告)
黒衣(プロフ) - 櫻さとみんさん» わ〜！ありがとうございます！朝から雪ですか！そりゃ寒い…Σ(ﾟдﾟ；)体調などお気を付け下さいね？そこそこな(笑)ムロ鍋美味しそうですよね♪た、多彩！う、嬉しい…(;Д;) 頑張ります！ありがとうございます！ (2016年11月5日 13時) (レス) id: 3e7f7417c4 (このIDを非表示/違反報告)
櫻さとみん(プロフ) - 黒衣さま こちらも楽しみに読ませて頂いています。わが地方 朝から雪です(((・・;) 寒いです！ そこそこな(笑)ムロさんのムロ鍋 食べさせて下さい！ 多彩な黒衣作品 これからも楽しみにしてますね(^^)v (2016年11月5日 8時) (レス) id: 05f33a3645 (このIDを非表示/違反報告)
黒衣(プロフ) - ジュンさん» ムロさん、来ちゃいました。潤くん大好きですからね(笑) しのぶさん、こき使ってますしね。翔さんも潤くんもニノちゃんになんだかんだ甘い(笑) 楽しんでもらえてるみたいで嬉しいです(*>ω<*) ありがとうございます！ (2016年10月26日 1時) (レス) id: 3e7f7417c4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：黒衣
| 作成日時：2016年9月13日 22時
