◆3 ページ39
◆SIDE-S◆
それにしても、なんなんだよアイツ。
手が掛かって仕方がねぇ。
Aだよ、A。
『今まで何も無かったんだから』
とかなんとか言いやがって。
ひとりでフラフラ外を歩き回りやがる。
学生時代はまだマシだった。
雅紀やニノが一緒だったから、何かあってもすぐに察知できるし、潤のお陰ですぐに向かえる。
だから何も無かったんだって、
アイツ本当に分かってんのか？
施設のオトナもほとんど味方に付けて、外の世界に出てから知ったのは。
俺らがいる施設とは別に、悪ぃコトばっかしてる別の「組織」ってのがあって。
施設から居なくなった数人がソコと関わって不穏な動きをしてる。
俺らのチカラも
目を付けられてるって話。
クソめんどくせぇ………。
そんな事も知らねぇクセに
ひとりでフラフラしやがって…。
だから
こんな目に遭うんだ、阿呆が………。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「お前の眼は節穴なのか？」
お前は目ん玉どこにつけてんだ？
全身黒ずくめの帽子にサングラス。そんな輩に話しかけられて、よくもまぁ、返事したもんだな…。
それも、人目を避けて大通りから１本外れた道で声掛けてくるような輩だぞ？
前々から危機感が足りないと言っているのに、お前まだ分かんない訳？
そういうのを何て言うか知ってるか？
それともお前の脳みそは飾りか？
歩いたら忘れるニワトリ脳なのか？
そうだとしたら動物並みだな、お前。
とりあえず思いつく限りの暴言をAに浴びせながら、あっけにとられてる黒ずくめとAの間に体を割り込ませる。
嫌な気配がしたのはコイツか…。
黒ずくめを睨みつける。
…コイツ、以前施設にいた奴だな。
俺の記憶が正しかったなら、コイツ、智くんと属性一緒だったハズ…。
「アナタさぁ…、
とりあえずコイツに用があるなら
一度、俺を通してもらえるかな？」
外用の笑顔を張り付けて、いつもより優しめに微笑んで相手を見る。
相手は微笑むとサングラスを外す。その眼は薄く水色をしていた。
ゆらりと瞳を揺らすと。
「今日の目的はアナタですよ」
そう言いやがった…。
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