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◆SIDE-N◆
相葉さんの叫び声で目が覚めた。
初めて見たその姿、その叫び声。
自分の「中身」と戦っているみたいで、声にならない叫びは、助けて、そう言っているように聞こえる。
まるで自分を見ているようで。
不愉快だった。
相葉さんは、叫ぶ事も減って、少しずつ普通になって、笑顔を見せるようになって、歌うようになって、踊るようになって。
まるで自分が取り残されたようで。
不愉快だった。
彼は苦手だ。
真っ直ぐにオレを見て。
真っ直ぐにオレに聞く。
これ以上踏み込んでこないで。
潤くんもそうだ。
真っ直ぐにオレを見て。
真っ直ぐにオレに聞く。
これ以上踏み込んでこないで。
何かがプツンと切れたように。
オレは全身から「音」を出していた。
気が付くと。
オレは暴走した後だった。
見えない固い箱に入って。
蹲って膝を抱えて小さくなって。
何も目に入らないように。
何も耳に入らないように。
泣き疲れた頃には数日経っていた。
顔を上げると、部屋の隅で潤くんと相葉さんが何頭かの大型犬に寄り添って眠っていた。
目の前には、ゆらゆら揺れる灯り…小さな炎。
その炎の先に、オレと同じように蹲って膝を抱えた翔ちゃんがいて。
真っ赤な唇を噛んで、綺麗な瞳からポロポロと涙を静かに流して、オレを真っ直ぐに見つめてる。
ゆっくりオレの箱が消えると、翔ちゃんの「おかえり」って小さい声が聞こえた。
今まで感じた事の無い感情が湧いてきて、思わず唇を噛む。
口元に、フワフワゆっくり飛んできた、小さな水玉。
飛んできた方向を見ると、指先で操ってるようにしてる大野さんがいて。
口元でフワフワしてる水玉を、あむっ、てしたら、体に染み渡るような感じがして、ジワジワきて。
「何も感じなくなるよりはマシじゃない？」って大野さんは、ふにゃって笑う。
さっき、唇を噛んだ意味が無くなったな、って思ったら自然と涙が出て。
そしたら、視界の端でモゾモゾ動く２つの影があって。
犬が起きちゃったか？とそっちを見ようと思ったら、体に大きな衝撃。
「なんだ？」と思ったら、「このやろう」って言う潤くんと、えぐえぐ言う相葉さんに、全力で抱きしめられてて。
「窒息しそう」って思ったら自然と笑いが込み上げてきて。
自然と笑ったの、いつ以来かな？ってまた涙が出た。
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