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◆SIDE-N◆
それからオレは潤くんと暮らした。
「傍に居て欲しい」気持ちが諦めきれなくて、「自分が愛されない」んじゃないって思いたくて。
Aと同じ顔をした、「天使」じゃなく「悪魔」の色をした彼の傍に居る事で。
天使みたいな悪魔。
自虐的すぎて笑える。
自分の中の天使と悪魔を、オレだけが持ってるモノじゃないと思いたいのか？
「愛と憎しみが紙一重」なんて、ウソかと思ってたけど本当だった。
潤くんを見ると、優しくしたい気持ちと傷付けたい気持ちが交互に湧いてきて。
優しくしては傷付けて、傷付けては優しくして、それでもオレの傍にいる潤くんに安心して。
きっとアナタもそうじゃないかと、勝手に期待して、勝手に想像して、勝手に安心して。
「そうして大切にしているのは
傷ついて壊れていくのを見る為？」
「ほら、だから言っただろう？
お前は壊れていくのを見たいんだ」
悪魔の囁きばかりが増していく。
愛されたい。愛したい。
そう想う程に、憎しみが湧く。
傷付けて、その顔が見たい。
壊して、オレの傍に縛り付けたい。
そんなオレの矛先は潤くんだ。
潤くんをまた傷付ける。
こんなオレの横で笑ってくれるっていうのに。
いつもオレは傷付けて、優しくして、笑ってくれることに安心して、その繰り返しで。
…傷付けたい…？…守りたい…？
それから、気付いた。
悪魔を隠す「微笑み」という名の仮面。
オトナもオトモダチも、優しくなる。「愛されてる」みたいな感覚。
これでいい。これがいい。
求めるから傷付く。求められるから欲しくなる。
だから、自分を守ればいい。
「壁」を少しずつ変えればいい。
幾重にも重ねられるようにしよう。
鎧のように、悟られないように。
近付き過ぎないように。
相手によって距離を変えればいい。
傍観していれば傷付けないし。
傷付かない。
大丈夫。
Aのことは、翔ちゃんと大野さんが守ってくれてる。
２人とも、きっとオレの「中身」に気付いてる。オレが傷付けても、２人がAを守ってくれる。
大丈夫。
大丈夫……。
任せておけばいい……。
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