◇2 ページ2
◆SIDE-YOU◆
＜お前、
治す事しか出来ないフリしてるな？＞
ココをウロウロしている時だった。
頭の中に直接話しかけられた。
ビクッと立ち止まり、右側から誰かが見てる感じがする。
その方向に顔を向ける。
ガラスの向こうに、腕を組んでフンッ！と鼻を鳴らす男の子。
茶色いキラキラさらさらの髪、赤いぷっくりした唇。
左耳に銀色のピアス、それに合わせたような銀縁のメガネ。
イライラしているのか眉をひそめ、見下すようにこっちを見ている。
＜やっぱり考えとか心の声も聴こえる＞
「……な、なんで……」
自分の体が震え始めているのが分かる。
＜しばらく観察したからな
急に振り返ってクスクス笑ったり
俺達が下ネタ言ってた時は赤くなる
ちょっと頭が痛いと考えていた時に
しばらくしたらお前が現れた事もある
そのトータルの結果として試した＞
何と言って良いか分からず、体の震えが止まらない。
＜あぁ…、
誰にも言わないから安心して？＞
マヌケ面だったのだろう。
＜……え？……お前、バカなの？＞
大きな溜息をつく彼いわく。
誰かに言ったところで自分のメリットは全くない上に、むしろお前のその能力が大人にバレない方がむしろ好都合。
少し観察すれば分かる事も分からないバカは放っとくに限るし、今更お前がこの中に入ったところで急病の時に困るのは俺。
それに。
お前も「このままで良い」とは思っていないハズで、その能力を隠し通していることからそれは明白。
俺が外の事も教えられるし、お前から内部事情も知れるから、そう考えるとお互いに仲良くした方が都合が良い。
≪……な、なるほど……≫
＜おっ？お前の声、聴こえたけど？＞
≪あ、味方だと判断した相手には聴こえるみたい？≫
＜……みたい？＞
≪あ、こういうの初めてなので「多分」って意味で≫
ムスッとしていたその男の子は、アハハと花が咲いたみたいに笑った。
そして、自分の名前が「翔」という事、外の世界に触れてから２年で、成績優秀でオトナからの信頼も厚く、来年は生徒会長になる予定と教えてくれた。
それから。
＜翔ちゃんと話せた〜？＞
ビクッとして振り向くと、フワフワした髪とふにゃっとした表情。
なんだか、とてもゆる〜い雰囲気をまとった人がガラスの向こうで笑う。
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