56 ページ6
.
｢この子迷子みたいなんでちょっと探して来ていいですか。Aさんはここで待っててもらって大丈夫なんで｣
｢いやいや私も行くよ心配だし｣
｢君名前はなんていうの？｣Aさんが俺の頭上に声をかけると、そいつはちょっと足をもじもじさせながら｢…こうた｣と呟いた。このマセガキ…
｢こうたか〜、いい名前だね！今日はお父さんとお母さんと来たの？｣
｢うん｣
｢ペンギンの帽子もかっこいいね！今日はペンギンさんを見に来たの？｣
｢…うん。ペンギンさんのところ行こうとしたら、パパとママ、いなくなっちゃって…｣
オメーAさん相手だとペラペラ喋んな！？と突っ込みかけたが、言葉尻にまた涙が滲みかけていることに気づき飲み込む。
俺はこうたの足首をしっかり掴んでその場でくるくる回転した。こうたは｢わわ！｣と少しよろめいたあと俺の髪の毛を引っ掴んだ。
｢あんま心配すんなよ、お兄さんでっかいからパパもママも見つかるって。な？｣
｢…うん、ありがとうおじさん｣
｢お兄さんっつってんでしょォ！！？！！？｣
言っとくけど俺その綺麗なお姉さんより年下だからね！？ぎゃあぎゃあ言い合いながらも水族館をぐるぐる回る。
いくらか落ち着いた様子のこうたは俺の髪の毛を2つ束にして捻りながら、｢何でおじさんは変な髪型なの？｣と聞いてきた。
｢おじさんじゃありません〜〜〜〜あとこれは寝癖ですゥ〜〜〜〜｣
｢うそだ〜！だってパパは大人だからちゃんと寝癖なおしてるもん！おじさんも大人だから寝癖なおさないとだめでしょ？｣
｢……｣
｢ングッ……ふっ……｣
｢Aさん！！｣
思わず吹き出したAさんの方を振り向くと、｢い、いや別に今は変な髪型と思ってないよ！？鉄朗らしくていいんじゃないかな〜！？｣わざとらしく笑顔を作ってみせる。…今は！？
くっそ…もう明日からぜってー濡れたまま寝ねえ…ちゃんと乾かして寝るし朝起きたらセットしてやる…と心に決めつつペンギンコーナーに差し掛かると、不安そうにキョロキョロと周りを見渡す女性と目が合った。
｢！こうた！！｣
｢ママ！｣
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 423人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さき(プロフ) - めちゃくちゃおもしろいです！！このお話だいすきです！これからも応援してます‼︎ (4月11日 22時) (
レス) @page15 id: 017d61e151 (このIDを非表示/違反報告)
yuuu(プロフ) - すごくすごくおもしろいです！黒尾さん、大好き！ここのクロかっこかわいいです (3月19日 6時) (レス) @page14 id: 6410d877bf (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 暁☆さん» コメントに加えて前作、本作を読んでいただきありがとうございます。更新が遅くなってしまい申し訳ないです。暁☆様にも楽しんでいただけましたら嬉しいです！ (3月15日 8時) (レス) id: 61b67fe907 (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - 続編おめでとうございます！久しぶりだったので最初から読み直したのですが、やっぱり好き〜！を噛み締めてしまいました…！続きを読めるのが本当に嬉しいです✨お身体気をつけて、作者様のペースで頑張ってください！これからも応援しています😊 (3月14日 20時) (レス) id: f3c28010ce (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：麗 | 作成日時：2024年3月14日 11時
