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ある日
家に帰ると
調子が悪そうだった。
身体だけでは無く、心も。
普段自分の気持ちを上手く表現する事が出来ず
どうしてもモヤモヤしてしまう時がある。
普段穏やかにニコニコしている涼が
「うーーーん!!!」
と泣きななら家中をウロウロしているのを見ると
可哀想で大丈夫だよとしてあげたくなるが
良かれと思った行動が
涼には、涼自身がギリギリで保っている気持ちを爆発させる
着火剤になることもあるから
見守っているしかない。
母親が昔、このような状態の時には抱きしめてあげたいと言っていたが、今は本当によくわかる。
朝からこんな調子らしく、大好きな作業所もお休みして
その影響もあるのかなーと勝手に思う。
両親と
何があったんだろうね
と話しつつ、涼の行動をしっかりと観ながら見守っていた。
泣きながらも自閉症のこだわりは強く
ちゃんと時間になったら
「そーや、ご飯です」
と言ってきた。
いつもより細かくなっているご飯を食べる涼だが
涙がまだ止まらず、且ついつも以上に辛そうに食べていて
もういいよ…
と言いたくなるが、それでも拘りだから。
見守るしかない。
すると、まだ残っているが
俺の方を見て
ご馳走様の合図で手を合わせてきた。
普段ならもう少しと言うが
今日は頑張ったねと、伝える。
その後、普段だったらひとり遊びを始めるが
今日は俺の手を持って涼の部屋に連れてかれた。
涼の部屋は大好きな飛行機のオモチャやギターなどが散らばっていて
普段一つ出したら一つ仕舞うという拘りを持つ涼が
落ち着く為にやったんだろうなと思うと
涙が出てきそうになった。
しかし、俺を部屋の一角に座らせて
そのまま放置して、また耳を塞ぎながら
「うーん」
と唸りながら泣いている。
別にこのような状態の時は何があるか分からず
涼を観てられるからいいけど、なぜ放置?と思った。
10分ぐらい泣いていると、途端に静かになり
焦って涼の方に行くと、眠っていた。
涼は睡眠でリセットされる事が多いから、
単純に良かったなと思う。
静かに部屋から出ていって
両親に寝たと伝えつつ、俺はどう言うことなんだろうと言う。
すると、落ち着くんだと思うよ。モノと一緒
と言ってきた。
俺モノかよ
と言ってしまったが
単純に俺を必要としてくれるのは嬉しいと思ってしまう程
涼が好きなんだろうなと思った。
end
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作者名:arimomo | 作成日時:2022年7月5日 0時