明日へ (ページ12)

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赤白(喘息) ページ12

ノンリアル
喘息の赤(5)父親の白

白side

瑞稀、ゼーゼー出てるから吸入しとこ？

公園で遊んでいるのを一度止めて簡易的な吸入器を渡すと

少し嫌な顔をしつつ上手に吸い出した。

一人息子の瑞稀は生まれつき喘息を持っている。

友達と遊んだり、興奮したり、余り空気が良くない場所に連れて行くと、咳が止まらなくなって苦しくなってしまう。

家族でいる時は

結構聞いてくれることが多いんだけど

どうしてもお友達と遊んでいたり、本人が楽しんでいると

親としてもそのまま遊んでいて欲しいし
　

万年反抗期な瑞稀は中々聞いてくれない事が多いんだけど

今日は風も強くて砂埃も舞っているし、ずっ走っていて苦しさを感じていたのか
　

嫌な顔をしながらも戻ってきて

ベンチで大人しく吸入器で吸い出した。

お家帰る？と聞くと

普段だったら

「帰らない！！」

と叫ぶのに、黙って考えていて

遊びたいけど辛いんだろうなと思った。

だから敢えて

パパ疲れちゃったなぁ〜

瑞稀まだ遊びたい？遊びたいならいいけど〜

と言うと

「えーつかれちゃったのー？

じゃあみずき帰ってあげる」

と言ってきた。

ごめんごめん、パパ疲れちゃってさぁ〜

悪いからパパ抱っこしてあげようか？

と聞くと

素直に抱っこさせてくれた。

抱っこをすると体も暑くなっていて、まだ咳が止まらず

しんどそうに身体をくっつけてきたのを見ると

ちょっと言うの遅かったなと思いつつ

急いで住んでいるマンションに帰った。

家に帰り

事前に妻に薬を準備してもらっていたので

瑞稀、ちょっとゼーゼー凄いし苦しそうだからさ

機械でモクモクしよ？

と吸入器を渡すと

「えー動画見たい」

と言ってきたので

動画見ながらでもいいよと言うと

「しょうがないからやってあげる」

と言ってきた。

椅子に座らせて機械を押すと

ウィーンという音が響き

動画聞こえないから嫌っていうだろうな

と思っていたが

静かに動画を消して、吸入に集中し始めた。

薬が終わったぐらいの時には落ち着きだして

顔も体の熱さも和らいでいた。