3、整理しよう ページ3
「寧々からの許可も降りたことだし、僕に気にせずゲームでもしててよ」
『ああ…』
あまり納得してなさそうな声が出る。
が、私は決して神代類がいやで不満を漏らしてる訳ではない。
むしろ推しユニットの一人だから、私は私を抑えるのが大変すぎるくらいなのだ。
『寧々、私七時半過ぎたら帰る』
「…ん。分かった」
十人に言ったら十人全員が「嘘だ」と答えるような出来事があった約六年前。
私は現代の医学でも治療が難しい癌を治すため、入院をしていた。
ステージは最悪の�検�
癌を見つけるのが遅すぎた結果だった。
色々な治療を試しても無理なのは分かってた。
毎日が辛かった。
けれど、私は諦めなかった。
「病は気から」と言うように、辛いことも吹き飛ばすくらい毎日何かに没頭してた。
一番長く集中出来たのは勉強。
私の知らない世界を知れてとても楽しかった。
「…ん？なんだい？」
そんな時だ。
この何もかもを諦めたような顔をしている男と出会ったのは。
『なんでもないけど』
「そう」
リリース当初からゲームを始めた。
きっかけは、単純に好きな曲があったから。
この身体にはリズムゲームとか地獄過ぎて笑えなかったけど、ストーリーは全部読めていた。
ストーリーを読んでいるうちに私は見事にワンダーランズ×ショウタイムハマった。
そりゃ驚いた。結構、というよりマジで深い沼すぎた。
私は天馬司が推しだ。
沼った理由は言わずもがな、彼の底なしの元気とポジティブさに救われてしまった。
最後の最後まで私は自分を信じて、外に出て目一杯走る夢を見ながら＿＿＿＿
＿＿＿＿息を引き取った。
『……』
そして目を開けたら神代類が私に膝枕してたんですがね。
そのときの私は小一。
神代類は小三。
二つ違いの私たちは互いの親が大の親友でよく家で遊んでた。
程なくして、草薙寧々が引っ越して来てストーリー通りに人魚のマーメイドショーを見て類と寧々は打ち解けた。
因みに私はそのとき居なかったから二人がそのショーの良かったところをいっぱい私に話してくれた。
二人のキラキラとした目が可愛すぎて死にそうだったのは覚えてる。
「今日もほんと、仏頂面だね」
『はい？』
「もう少し笑えば良いのに、可愛いんだから」
『……私より寧々の方が可愛いでしょーが』
「玲の方が可愛い」
『寧々…』
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作者名：第二の羊羹 | 作成日時：2024年3月28日 11時
