2、昔々の話 ページ2
「ごめんね、おこしてしちゃって。まだねてていいよ？母さんたちはまだ話してるから」
ニコッと人当たりの良い笑みを浮かべながら、真上の人物はそう言った。
『ぇ、あ……うん』
「でもそのまえに、その垂れてるよだれだけはふいておこう」
『んぶっ』
少しだけ雑に口の端をティッシュで拭われる。
そうして丸めたティッシュをポイ、とゴミ箱に向かって投げ入れた男の子。
見事に綺麗にスローインしたゴミ。
満足そうに笑う目前の彼が可愛すぎて目が潰れそうになる。
じゃなくて
「はい、きれい。じゃあ玲ちゃん、ねてていいよ」
『……あっありがと…』
なぜ神代類(ショタ)が私の目の前にいるのか！！！！！！！
『いや、かみしろ…くん？』
「ん？」
恐る恐る名前を言うと、それまで笑顔だった御尊顔が途端に真顔になっていく。
それと同時に自分の顔から血の気が失せていくのが分かった。
もう膝枕されてるなとか、良い匂いとかいう気付いてた事全部がどうでも良くなる。
『……！！！ど、どうし』
「僕のこと、��類��って呼んでくれないのかい？」
『へっ！？』
途端に私の頭は大爆発をして脳の回路がショートする程、かつてないフル回転を見せた。
『そ…！れってどういういみ…』
「だって、さっきまで呼んでくれてたじゃないか」
『…………え？』
「え？るいくんって」
『……』
穴があったら入りたい。
いや埋もれて地上に出たくないかも。
一瞬で自分の思考の邪さに自分自身を殴りたくなる。
『ごごごごめんねるいくん…！』
「あ、戻った」
ふふふと笑う顔に目が潰れそうになるのをなんとこ堪える＿＿＿＿
＿＿＿＿なんて、そんな昔のこともあったなぁ。
『……寧々、今日って類も遊ぶって言ってたっけ？』
「え？いや、言ってないけど…玲が呼んだんじゃないの？」
『呼んでない』
「おや、二人とも酷いじゃないか。幼馴染と遊んで何が悪いんだい？」
眉を大袈裟に上げて口はニンマリと笑いながら壁に背を預けて座る神代類。
好きに伸びている髪の一部を雑に左にまとめているだけで、私たちがよく知っている左部分だけ伸びた髪ではない。
今の神代類は、ゲーム内で言うところの中学生の神代類に酷く似ていた。
『別に悪くはないけど』
「じゃあここに居させてもらうね」
『私じゃなくて寧々に』
「……好きにすれば」
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作者名：第二の羊羹 | 作成日時：2024年3月28日 11時
