【呪術廻戦】徒然の世を君と共に。弐【10000hit超/♡400超感謝！】

「安心する声」 ページ31

検査が一通り終わった後、結果が出るまで私は自由時間を言い渡された。
だけど外出許可は下りなくて……特にやる事もない私は、遠くから聞こえてくる賑やかな声に耳を傾けていた。
やる事が無いというのは身体的(・・・)にという意味で、私の脳内は今、得た情報の整理にフル回転している。
議題はもちろん、｢黄泉｣について……両面宿儺を介して新しく仕入れた情報が“正しい”という保証がどこにもなく、その情報に対する正誤を確認する術がないという点で、私の頭は手詰まりを起こしていた。
自分の理想に近付く相手に嘘を吐く必要はないとは思うけど、腹の底が読めない分警戒はしておいた方が間違いではないはず。
軽い溜息を吐き、手元にあるＡ４のコピー用紙に乱雑に記された文字を眺めている時、聞き慣れない着信音が部屋に響いた。
自分が使用しているスマートフォン……その画面に表示されている名前に、私はすかさず通話ボタンを押した。

《もしもし、詠子？ 聞こえる？》
『もしもし憂太？ ちゃんと聞こえとるよ。そっちは？』
《大丈夫、こっちも聞こえてるよ。……って、なんか前にも似たようなやり取りしたよね？》
『そうやっけ？』

スピーカー越しに私の鼓膜を震わせる声に、自然と頬が緩むのを感じる。
安心感とは、きっとこの事を言うのだろう……息詰まっていた気持ちが、彼の声でスッと軽くなった。

《そういえば、交流会はどうだった？ 僕の方はちょっとだけ収まり悪かった感じかな》
『そう！ 聞いてよ憂太！ 実は虎杖くんが生きてて、ジャンケンに勝ったから五条先生にポップコーン奢ってもらった！』
《えっとー……？ 人数合わせのじゃんけんで詠子が勝ったから、交流会には参加できなかったんだ？》
『そうそう！ でも、未登録の特級呪霊の乱入でそれどころじゃなくなって……あ、検証結果は可能だったよ。あんな発想ができちゃう憂太すごいね』
《なるほど、どうりで呪力が安定しないわけだ……って、特級呪霊!? 学校の敷地内に!?》

まるでダムが決壊したように、次から次へと言葉が溢れてくる……自分でも何を言っているか分からないのに、それを憂太は全部拾って理解してくれた。
時間が過ぎるのはあっという間で、話が落ち着く頃には時計の長針が一周していた。

《そっかぁ……じゃあ、今年の姉妹校交流会は中止か延期？》
『いや、みんなの決定で交流会は続行してるよ。昨日一日挟んで、今日が２日目の後半戦。野球してる』
《…………え、野球？》

続く お気に入り登録で更新チェックしよう!

最終更新日から一ヶ月以上経過しています
作品の状態報告にご協力下さい
更新停止している| 完結している


←「“強さ”を求めて」

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す