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「三度目の対峙」1 ページ19

目を開けているのか、閉じているのか……。
感覚が麻痺を起こし始めた真っ暗な闇の中で、私はひとり溜息を吐いた。
光が遮断されてた閉鎖空間の中、手足を伸ばして出口を探すも、それっぽい箇所は一ヶ所たりとも見つからない。
当然、外からの光や音は遮断されていて、感じ取れるのは僅かな振動のみ。
時々呼吸みたいな音が聞こえてくるのは、植物だからか……。
閉鎖空間にもかかわらず、空気循環している事は不幸中の幸いと言っても過言じゃないだろう。

『さて……どうしたものやら』

右手にある鬼桜を振り回したところで、そう簡単に根の壁は壊れてくれないだろう。
光が遮断されている完全なる闇の中では、私の“術式”は無力に等しいのだと痛感した。
決して広くはない球体型の空間で、ひとり静かに座り込む。
先生達は、真希ちゃん達と合流できただろうか……虎杖くん達は、みんな生きているだろうか……。
自分の事より他人(ひと)の事、憂太にも言われたっけ……「もっと自分を大切にしてほしい」って。
そういや、ここに閉じ込めた呪霊は「黄泉」の事を知ってたなぁ……「黄泉」の覚醒を狙っているという事は、やはり両面宿儺関係なんかな。
考えれば考えるほど、抜け出せない無限ループを築き上げていく思考に声を上げて制止する。

『ハァ……。こうして、改めて考えてみると……「黄泉」について知らない事が多すぎる』

いつの日か、五条先生から聞いた「黄泉」についての記録内容。
少年院の時に、両面宿儺から聞かされた「黄泉」の一族の最期。
……それ以外の事を、私は知らない。

『…………よし。ダメ元でやってみますか』

目には見えなくても、ちゃんと手には握られている……右手にある鬼桜へと、私は意識を集中させた。










ピシャン…

血のように赤い水面、夥しい数の頭蓋骨……積み上げられたその頂点で、気怠げに四肢を投げ出して此方を見下してくる“奴”は……心底不愉快そうに目を細めていた。





『おぉ、案外簡単やった』
【……勝手に入り込んできたと思いきや、第一声がそれか。去れ、貴様に興味はない】
『私に「黄泉」を教えて欲しい』
【!……ほう】

先程までの不機嫌は何処へ行ったのか……両面宿儺は愉しそうに口端を上げた。

「三度目の対峙」2→←「選手交代」...No side.



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神屋之槭樹(プロフ) - マニ。さん» 初めまして、コメントありがとうございます。面白いと言って頂けて光栄です笑。上部にXアカウントのリンクもありますし、もちろんボードも開放しておりますので、使い勝手の良い方へ荒らさない程度にコメントくださいませ。今後ともご愛読の程よろしくお願い致します。 (10月18日 15時) (レス) id: f2db43c185 (このIDを非表示/違反報告)
マニ。(プロフ) - ✉️。とても面白いです、ファンの一人として応援してます。もしよろしければボードで会話とかしたいのですがいいですか?返事待ってます (10月18日 15時) (レス) id: 7e6d72d340 (このIDを非表示/違反報告)
神屋之槭樹(プロフ) - 紅さん» コメントありがとうございます、お楽しみいただけている様で何よりです。交流会については話の内容が決まっているので、時間が出来次第更新予定です。渋谷事変編までの繋ぎをどうするかはまだ未定なのですが…。今後ともご愛読の程よろしくお願い致します。 (8月2日 10時) (レス) id: 71e5081f07 (このIDを非表示/違反報告)
- とっても面白いです!!続き楽しみにしてます! (8月2日 5時) (レス) @page15 id: b3496c9ef0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:神屋之槭樹 | 作成日時:2023年7月17日 16時

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