捻くれた優しさ ページ7
「さぁ、これで一年も５人になったね」
(４人と１匹…)
「午後の呪術実習は、２−２のペアでやるよ。棘・パンダペア、真希・憂太ペア」
「げっ」
(げって言った…)
「詠子は僕と一緒に真希・憂太ペアの引率ね。……“確認したい事”があるんでしょ？」
『！』
「先生に隠し事は通用しないからね〜。……それに、詠子の着眼点や論点は“僕達の持つ常識”のナナメ上を行くんだ。“確認”の後でいいから、君の見解を聞かせてほしい」
包帯で目を隠しているのに、何故か私と目が合っているように感じる不思議な感覚にはまだ慣れない……。
五条先生の言葉はまっすぐに“私”へと宛てられていて、応えるようにひとつ頷くと、流れるようにそっと頭を撫でられる。
「じゃ、決まり。そういう事だから、各自準備して正門に集合ねー」
そう言うと、先生は先に教室を後にしていった。
……残された私達は、というと……。
「よ……よろしくお願いします」
「…………オマエ、イジメられてたろ」
真希ちゃんの言葉に、乙骨くんの肩が跳ねる。
「図星か。分かるわぁ、私でもイジメる。詠子にも言ったけど、やっぱ結局外から来る連中はダメだな」
『…………』
「オマエは呪いのせいか？“善人です”ってセルフプロデュースが顔に出てるぞ、気持ち悪ィ。なんで守られてるくせに被害者ヅラしてんだよ。ずっと受け身で生きて来たんだろ、なんの目的もなくやってけるほど呪術高専は甘くねぇぞ」
乙骨くんは、何も言い返さない……いや、言い返せないんだろう。
反応を見る限り、彼にとって、すべて正論だったからか。
「真希、それくらいにしろ!!」
「おかか!!」
「
パンダくんと棘くんの制止に、真希ちゃんのマシンガンは止まった。
本当に、真希ちゃんは“優しい”なぁ……。
「すまんな。アイツは少々、他人を理解した気になる所がある」
「……いや、本当のことだから」
『…………』
ここでひとつ、検証できたことがある。
こんなに言葉で追い立てられたというのに、さっきみたいに里香ちゃんが出てこなかった。
一体、何が引き金になっているのだろう……終わらない考察が私を支配する。
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作者名：神屋之槭樹 | 作成日時：2023年2月20日 0時
