彼が呪われた経緯 ページ6
特級被呪者 乙骨憂太
特級過呪怨霊 祈本里香
6年前の宮城県仙台市某所、横断歩道のある交差点で起きた凄惨な交通事故。
その事故直後から、転校生・乙骨憂太くんは里香ちゃんに呪われているという……。
「ってな感じで、彼のことがだーい好きな里香ちゃんに呪われてる、乙骨憂太君でーす。皆よろしくー!!」
ザックリとした五条先生の説明を聞きながら、適度に傷付いた同級生達の手当てを手際よく終わらせる。
“さっき”の事を思い返せば、気になる点や引っ掛かる点が多すぎて…、…いや、今は深く考えるのやめとこう、絶対終わんないやつや。
「憂太に攻撃すると里香ちゃんの呪いが発動したり、しなかったり。なんにせよ、皆気を付けてねー!!」
……予想通り、里香ちゃんには超えてはならない一線が存在している様子。
上手く先手を打っておけば、事前に“面倒臭い”が回避できるかもしれない……次の機会に確認してみようかな。
「コイツら反抗期だから、僕がちゃちゃっと紹介するね」
「「「…………」」」
(この先生が悪い気がする…)
……とか思っているんだろうなぁ乙骨憂太くん、だけど本当にその通りだから否定はしないよ。
「呪具使い、禪院真希。呪いを祓える特別な武具を扱うよ」
「…………」
「呪言師、狗巻棘。おにぎりの具しか語彙がないから会話頑張って」
「こんぶ」
「パンダ」
「パンダだ、よろしく頼む」
「そして、神城詠子。さっきみたいに突拍子もない言動をするけど慣れてね」
『…………』
「とまぁ、こんな感じ」
(一番欲しい説明がなかった……。でも……)
先生が一通りの紹介を終えた後、恐る恐るな様子の乙骨くんと目が合った。
この後の“面倒臭い”を回避するには……とりあえず、先生みたいにニコッと微笑んでおこう。
「詠子、気持ち悪ぃ顔すんな」
『……ごめん』
真希ちゃんに指摘された私は、すかさず微笑むのをやめた。
そんなに酷い顔してたとか……これから他人を真似て微笑むのはやめよう、そうしよう。
76人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:神屋之槭樹 | 作成日時:2023年2月20日 0時