教え導く者として...Satoru side. ページ48
「ごめんね、里香ちゃん。待たせたね」
「? どーした、憂太」
「えーっと、力を貸してもらうかわりに、里香ちゃんと同じ場所に逝く約束をですね…」
「はぁ!!? オマエそれ死ぬってことじゃねーか!! 何考えてんだバカ!!」
特級過呪怨霊の気配が消えた……即ち、彼の目的は達成されたという事。
「え、里香ちゃん?」
「おめでとう、解呪達成だね」
「「「誰?」」」
「グットルッキングガイ五条悟先生ダヨ〜」
盛大に吹き飛んだ高専の敷地が、里香の限界突破した最大火力を物語っている……いや、きっとこれは“彼女”の呪力も上乗せされての事だろう。
「以前、憂太が立てた仮説。面白いと思ってね、家系の調査を依頼した。里香の方は随分昔に終了してたけど、憂太の方はザルもいいとこだったからね。それで判明したんだけど、君、藤原道真の子孫だった。超遠縁だけど、僕の親戚!!」
「「スガッ」」
「え、誰?」
「日本三大怨霊の一人」
「超大物呪術師だ」
「ツナ」
“人間観察”が得意な詠子の読みは当たっていた……伊地知らに任せた調査の結果がすべてだ。
僕は歩み寄ると、憂太の腕の中にいる微動だにしない詠子の身体をそっと抱き上げる。
「憂太が正しかった。里香が君に呪いをかけたんじゃない、君が里香に呪いをかけたんだ。だから……詠子を呪うのはやめろ、里香の二の舞にするな」
「!!」
僕がそう告げると、憂太は唇を噛みしめて必死に自分の気持ちを抑え込んだ。
言い方はキツいかもしれない……それでも、誰も望まない展開を避けるためには、現実を叩きつける事も必要だ。
「呪いをかけた側が主従関係を破棄したんだ、かけられた側が罰を望んでいないのであれば、解呪は完了だ。ま、その姿を見れば分かりきったことだよね」
「……全部、僕のせいじゃないか」
生と死の狭間で→←君がいない世界なんて...Yu-ta side.
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作者名:神屋之槭樹 | 作成日時:2023年2月20日 0時