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初めての“友達” ページ44

呪詛のように延々と繰り返される“誰かの声”を遮って、私の元へと届けられた心地の良い声。
まるで記憶を辿るようにして、ポツリ、ポツリと語られるその言葉に、闇に溺れていた私の意識が浮上していく……。





…最初はね、すごく嫌いだった…





私の手を引く、小さな黒髪の女の子が……私に向けてそう言った。





…今まで憂太には里香だけだったのに、ここに来てから憂太には里香以外の“友達”ができた…





それは、彼女……里香ちゃんの、本音。





…みんなが、ちゃんと憂太を見てくれてる。嬉しくて、悔しくて、寂しくて、羨ましかった…





小さな手が震えている……私がそっと握り返すと、ぎゅっと力が入った。





…憂太はね、優しいの。だから、里香が守らなくちゃって思ってた。だけど、今の憂太は里香よりも強くって…





繋いだ手から感じる、里香ちゃんの心情。
嫌悪、恐怖、嫉妬……そんな負の感情に隠れた、喜楽。





…今、こうして憂太とちゃんと繋がり合えたのは、詠子のおかげだよ…





まるで花がほころぶように、ふわりと笑った里香ちゃんは……泣いていた。





…憂太が詠子を助けたいなら、里香も詠子を助けたい。だって詠子は、里香の“友達”だもん…





『!!』

ハッとした時、心地よい圧迫感とあたたかい温もりに声が漏れる。
乙骨くんに抱きしめられている私の身体に異常はない……視界に映る里香ちゃんは、こんな状態だと言うのに何故か動かない。





「乙骨。君が祈本里香を使いこなす前に……詠子がその血に目覚める前に、殺しにきて本当によかった」

夏油の声に、彼は私を解放する。
目と目が合った時に見えたその“覚悟”は、彼自身が導き出した“答え”だ……私に止める権利はない。

そっちがその気なら、こっちも全力で挑むまで。

“すべて”を捨てる→←自分の気持ち...Yu-ta side.



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作者名:神屋之槭樹 | 作成日時:2023年2月20日 0時

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