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勝つ為の手段 ページ42

「生まれて初めての激情、呪力が体に満ち満ちているね。身体能力の向上、万能感、五感が研ぎ澄まされているだろう。烏合共では相手にならないね、直に叩くとしようか」
『来るよ、二人とも』
「あわせろ、里香」

()らなきゃ、()られる……そんな殺気が充満する中で、夏油は呼び出した呪いの口から武器を取り出し、構えた。

「人は食物連鎖の頂点に立ち、更に高位の存在を夢想し「神」と呼んだ。おかしいと思わないか? 夢想せずとも我々呪術師がいるというのに」

……開戦の一撃は、乙骨くんからだった。
里香ちゃんとの連携で一気に攻め入るも、夏油の動きは更に上を行く……私が“術式”で奇襲を仕掛けても、ギリギリのところですべて躱されてしまい、逆に反撃を受ける始末。
私も彼も、里香ちゃんのサポートのおかげで大事(だいじ)には至らないものの、3対1でも経験年数という実力差が大きく響いていた……勝率は低迷している。

「結局、非術師(さるども)は、自分より秀でた存在から目を背けたいだけなのさ」
「神になりたいなんて、子供じみたことを言うなよ!!」
「論点がズレてるよ、乙骨」
『足元!!』
「チッ」

夏油が、彼の意識が逸れた瞬間を見逃すはずがない……顔側面に強打を受けた乙骨くんの身体が浮く。
追撃が加わる前に里香ちゃんが彼の身を抱き距離を取った事で、直撃の難を逃れた。

「私が望むのは「啓蒙(けいもう)」ではない、「選民」だよ。数が多いというだけで強者が弱者に埋もれ、虐げられることもある。そういう猿共の厚顔ぶりが吐き気を催す程不快だと、私は言っているんだ」
【憂太、憂太ぁ】
「大丈夫。慣れてきた」
「問答は終わりかい?」

相変わらず余裕を見せる夏油に、乙骨は里香の手から離れ再度仕掛けていく。
里香ちゃんの抱いた“心配”は、今の彼には届かない……そして私には、今の彼等を上回る力は、無い。





【アレに勝つ(すべ)を知りたいか?】





私の意識に直接届けられる“声”が、そう囁いた。

自分の気持ち...Yu-ta side.→←三位一体の攻防戦



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作者名:神屋之槭樹 | 作成日時:2023年2月20日 0時

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