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三位一体の攻防戦 ページ41

「呪力による治癒には高度な反転術式を要する。“彼女”が反転術式を扱える可能性は大いにあった分、目覚める前に叩きたかったんだけど……本当に詠子には驚かされたよ」
『残念だったね』
「……さて。続きを始めようか」

夏油は従える呪いの群れを、此方へと向け一斉に放つ。

「里香、アレをやる。……詠子」
『ん、分かっとるよ』
「!!(「蛇の目」と「牙」、あれは――)狗巻家の呪印!!」

乙骨くんが手を翳すと、里香ちゃんが瞬時にソレを構築する。
彼の手に握られたのは、見た事のある呪印が記された、ひとつの拡声器……。
深く息を吸うと、彼はその目と声に殺意を込めて“一言”を放った。
それと同時に、私は手にある日本刀に呪力を込め……“術式”を発動する。

「“『死ね』”」
『“反鏡”』

群れを成して迫り来た呪いは、私の“術式”によって威力を倍増させた彼の“呪言”を受け、広範囲で爆発を起こし、消滅した。
彼の手にあった拡声器は、その一発の威力に耐えられずに塵と化す。

「やっぱり難しいや、呪力が拡散して狙いが定まらない。狗巻君は凄いなぁ…」
『あの強さの“呪言”を跳ね返すとは……強すぎて笑える』
「そう、僕の友達は凄いんだ。それをオマエは…オマエは…」
『……当然、許されないよね』

自分の感情に振り回される乙骨くんを、里香ちゃんがそっと支える……大丈夫、まだいける。
私はそっと刀を握り直し、目の前の“敵”……夏油を見据えた。

「(“呪言”は狗巻家相伝の高等術式、これを呪術を学んで一年未満の少年がやってのけた。やはり祈本里香の正体は、変幻自在、底なしの呪力の塊!! その呪力を更に倍の威力で跳ね返した詠子の“術式”は……これはもう、間違いない) 益々欲しいね」
「ぐちゃぐちゃにしてやる」
『右に同じ』

互いに背を預け合い、私達はまっすぐに標的へと狙いを定める。

勝つ為の手段→←敵か味方か



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作者名:神屋之槭樹 | 作成日時:2023年2月20日 0時

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