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行動開始 ページ20

カツカツと鳴る、波紋が広がる世界。
それは……私に居場所を伝える合図。

『棘くん、乙骨くん、無事?』
「じゃ”げ」
「神城さん!? い、一体どこから…えぇッ!?」

鏡を通して転移した先に、棘くんと乙骨くんは居た。

『これ、私の“術式”。鏡みたいに反射しているものを通じて、移動できるの』
「へ、へぇ…呪いって、そんなこともできるんだ…」
『細かい説明は今度でいい? 先にアイツをどうにかしんと……』
「ヅナ”マ”ヨ”」

現れた場所からほとんど動こうとしない呪いを観察している時、棘くんに袖を引かれた。
その目は乙骨くんに向いていて、彼は刀袋から本体を取り出している。

『…………そっか』
「……え?」

私は呪いの観察時に巡らせた“推測”の中のひとつを2人に共有し、“可能性”を伝えた。
上手くいけば、確実に祓える……たとえコケたとしても、そろそろ時間的に違和感を感じた伊地知さんが応援を呼んでくれてるはずだ。
作戦の打ち合わせを終えた私達は、それぞれ行動を開始した。
乙骨くんは普段から真希ちゃんを相手にしている……彼女の等級は四級だけど、その実力は二級に匹敵する。
身体の使い方は充分に叩き込まれている、後は実戦でどれだけ通用するか……乙骨くんの成長に対して、五条先生が言っていた言葉。
案の定、心配する必要などなく乙骨くんは上手く立ち回れている。
手に持った鏡を覗き込みながら、私は静かに乙骨くんと呪いが繰り広げる戦闘の様子を窺っていた。

「ヅナ”」
『…………』

里香ちゃんの影響で激昂している呪いを翻弄しながら、彼はしっかりと“位置”を確認している。
……やがて、彼が振り抜いた一太刀が、呪いに傷を負わせた。
与えた傷は浅い、しかし、一撃を与える事で出来た“隙”は、たとえコンマ数秒だとしても大きい。
瞬間、私が手に持つ鏡に、ひとつの波紋が広がった。

勝敗の行方→←報告の無かった呪い



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作者名:神屋之槭樹 | 作成日時:2023年2月20日 0時

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